「京セラドーム貸し切り」で運動会を本格演出――村田製作所「働きやすい」を形に イマドキの福利厚生(1/2 ページ)

社内コミュニケーションが薄れている。そう危機感を持った村田製作所は、18年ぶりに社内運動会を京セラドームで再開。その効果は?

» 2008年11月14日 10時25分 公開
[SOS総務]
SOS総務

 アンケートでは「社内行事が必要」と答えた企業は9割以上。コミュニケーション活性化の必要性から、社内行事が見直されている。積極的に社内行事を行っているマーケティング企業、イノベーションの代表取締役の富田直人(とみだ・なおと)さんと、社内運動会のコンサルタントを手掛ける企業、スポーツビズの千葉達雄(ちば・たつお)さんによると、社内行事を成功させるには「5つの鍵」があるようだ。

   

社内行事を成功させる5つの鍵

第1の鍵 実行委員にすべてを任せる

 社内行事の主役は実行委員。上司や先輩が口出ししたり、文句をいってはいけない。実行委員に花を持たせよう。

第2の鍵 社風として定着させる

 「社内行事を楽しむ会社である」という社風が出来上がっていれば、自然と「楽しみにする」ムードが生まれる。

第3の鍵 参加を強制しない

 参加者には「自分の意思で参加してもらう」ことが重要。「業務命令だから」と参加を強制するのは厳禁!

第4の鍵 やるからには、本格的に

 大人が楽しむためには、「本格的」であることが不可欠。会場や音響、照明に凝るなど“プロっぽさ”を演出する。

第5の鍵  サプライズを用意する

 いつもと同じ店、同じ内容では飽きられて参加意欲も低下する。サプライズを用意して、新鮮な驚きを与えよう。


 前回は「実行委員にすべてを任せる」「社風として定着させる」「参加を強制しない」と、3つの鍵を見てきた。引き続き、第4の鍵と第5の鍵について、村田製作所を事例に見ていこう。

第4の鍵:大人を楽しませるには、本格的な演出も

 社内行事を継続的に行っているイノベーションのような企業なら、企画・運営のノウハウも蓄積されている。しかしそうでない企業では、いざ社内行事をやろうといわれても、「大規模な社内行事はここ十数年、行っていないのでノウハウがない」「どんなことをやればいいのか分からない」という声も少なくない。

 そんな需要に応えるべく、運動会をはじめとするスポーツイベントのコンテンツプロデュースを手掛けている会社がスポーツビズだ。「当社はアスリートやスポーツに詳しい文化人のマネジメント、スポーツ大会などのイベント、テレビ番組の企画、制作、運営を行っています。このノウハウを生かして企業向けのコンテンツ・プロデュースを2007年にスタートいたしました」(千葉さん)

降り立つだけで興奮する京セラドーム大阪の広いグラウンド

 例えば社内運動会なら、会場となる場所の確保や種目やルールの考案や決定、道具類の準備、音響や照明の手配などをサポートする。「社内運動会を行うならば、東京ドームや京セラドーム大阪など、ドーム型球場がお勧めです。天候に左右されないというメリットがありますから。そういう場所を確保できるのも当社の強みです。『どんなことをやりたいのか?』をお聞きして、実現させていくお手伝いが私たちの仕事。まずは気軽に相談してみることから始めてほしいですね」

 「(スポーツビズに)全部、お任せでやってもらえたらいいのに……」という声もあるが、「それでは社内行事として、社員のみなさんに満足感を持ってもらえない」と千葉さん。「社内行事の目的として、社内や会社周辺の地域とのコミュニケーションの活性化を挙げる企業が多い。なのに、外部の私たちが前面に出てしまっては、その目的は達成できません」

 そうはいっても、千葉さん自身、最初の顔合わせの時に感じるのが、「どの企業も実行委員になった人たちのモチベーションがかなり低い」ということ。「やらされている感が強いんですね。でもマニュアルなど、私たちが持っているノウハウをお見せしていくうちに、みなさんのやる気がわいてくる瞬間があるんです」

 「大人が楽しめるようにするには、本格的なものでなくてはならない」(千葉さん)。そして、「本格的な行事を実現させる」ことが、実行委員の自信になるのだという。

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