ビジネスパーソンなら、日帰りから数日程度のプチ出張に備えたい――。文具王が紹介する出張ツールのまとめ方、それが“ユニット化”だ。まずは前編から。
最近、日帰りから数日程度のプチ出張に出かけることが時々ある。しかし出張の内容はさまざまで、講演、実演、店頭販売、商談、それぞれに用意する装備は異なる。そこで出動要請に合わせて、それらの装備をユニット化しておき、いつでも対応できるようにしている。
まず、内容によって組み立てられるよう、機能ごとにナイロン製の収納袋に用意しておく。PC系の物は出張でなくても常時持ち歩いているから、特別用意することはない(以前は予備バッテリーも含め、周辺機器だけでもかなりの重量になっていたが、PCの高性能化で持ち歩かなければならない周辺機器が激減してとてもうれしい)。
具体的には下記のようなセットである。
これらの中から必要なものを選択し、ユニットごとキャリーバッグに詰め込めば準備完了。国内ならまず慌てることはなくなった。それぞれにちょっとだけ解説しよう。
講演会場を過信してはならない。プレゼンテーションを行う際に最も重要なファクターは、間違いなく音だ。聴衆を集中させるにも、盛り上げるにも、とにかく音場をきちんと作ることが何より重要なのである。これには何度も痛い目に遭っているので、できるだけ事前に打ち合わせを取り、可能な限り早めに会場に入り、企画のスタッフに対してアナウンスなど外部の音をカットしてもらうようお願いはするが、残念ながら私が呼ばれる程度のローカルイベントは、多くの場合、会場企画者の映像・音響に対する意識はそれほど高くない。
実際、展示会と併設の場合など、ほかのイベントブースとのあいだにパーティションしかなく、商品紹介や会場の呼び出しなどが聞こえる環境で講演を行ったり、どう頑張ってもスピーカーのハウリングやノイズが止まらず、マイクが全く役に立たなかったなんてことが何度もある。こんな状況では、せっかく聞いてくれている人が熱心でも、プレゼンを楽しんでもらうのは非常に難しい。
逆に、外音のほとんど入らない静かな会場で、声がクリアに通れば、あとはこっちの責任。ビビットでダイレクトな反応が返ってくる。プレゼンが面白ければ盛り上がるし、そうでなければ居眠りされる。何度も残念な思いをした結果、音響機材は会場側で準備される場合でも全て持ち込むことに決めた。
会場設備が不足ならば、迷わず自前スピーカーに切り替える。私が持ち込むスピーカーは「BOSE マルチメディア・スピーカーシステム MediaMate II」。比較的安価で軽量な割にパワフル。5ワット×2台の出力で、150人ぐらいまでの会場なら、音が割れることもなく十分対応できる。なにより便利なのは、入力が2系統あり、ミックスバランスを調節できるようになっていること。これは、講演などで使うには重要だ。一方をPCのイヤフォン出力、もう一方をマイクアンプにつなげば、講演準備OK。その場で簡単に音量バランスを調節できる。
このセットは基本的にはほとんど1と一緒で持ち出すヘッドセット型マイクとアンプのセット。音響が重要なのは講演などの講義型プレゼンに限ったことではない。店頭で実演販売を行うような時にも、私はこのスピーカーセットを持ち込むことが多い。
店頭は最初から雑音の中に埋もれてのプレゼンだ。そんな場合にはこのセットが活躍する。1日中しゃべりながら実演、つい熱くなる性格もあり、地声でやると1日でノドをやられる。メッセージの伝わり方だけでなく、このマイクがあるかないかで体力の消耗が全く違う。
もちろん実演は両手を使うから、仮にハンドマイクの用意があったとしても片手にマイクを持って文具の実演なんて、話にならない(以前実演販売の現場に行ったら、ハンドメガホンが用意されていて苦笑したことがあるが、事前準備がなければと思うと笑えない)。
そこへいくと、このヘッドセット型のアンプは、両手が空くため、実演販売などのイベントにはもってこいだ。ということで、これまた自腹購入。実際、非常に便利。必ずしも大音量にする必要はないが、ほんの少し増幅されるだけでとても楽。見た目にも実演らしく、手慣れた人のように見えるという効果もあり、なかなか良い。いずれもう少し余裕ができたらワイヤレスに乗り換えたいと思っている。
また、PCからの出力を会場スピーカーに接続できないパターンは少なくないのだが、そのほとんどは、入出力ケーブルの長さが足りないなど、実にくだらない理由だ。だから延長ケーブルやケーブルの変換コネクタは必須。それから、アンプやPCが電源を複数使用するので、三ツ口以上のテーブルタップも絶対に忘れてはならないマストアイテムだ。
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