1カ月先のことなんか分からないから、予定を尋ねられたらとりあえず「空いてます」と答えている――そんな人が多いのではないでしょうか。
職業柄、半年も後に出す本の執筆計画を求められることがよくあります。しかし実際には、はっきりとした自分の予定を答えられるのなんてせいぜい1〜2週間先までがいいところですよね。ですから、今回の質問者のお悩みの気持ちはよく分かります。
1カ月以上先の予定をうまく管理できず困っています。普段は「まだまだ先のことだし、何とかなるだろう」と軽い気持ちでアポなどを入れてしまうのですが、直前になって忙しさに気付き「どうしよう、時間が取れない……」と頭を抱えることも。そもそもこんな事態に陥らないためには、また、万が一陥ってしまったときには、どう対処すればよいでしょうか?
まずは理想論から。
第一に重要なのは“Not To Do”の意識、つまり、「そんなに先の予定は入れない」という意識を持つことです。確かに、いきなり「No」と言うのは場合によっては角が立つこともあるでしょう。しかし、可能なことと不可能なことをはっきり伝えることは、本来は相手にとっても助かることなのです。状況によっては難しいこともありますが、「1週間返事を待っていただけませんか?」と言えないかどうか、せめて立ち止まって考えるようにしましょう。
一方、現実的にはどうでしょうか。相手との関係や関連する仕事のスケジュール上、どうしても断ることができない場合というのも確かにもあります。そんなときには、将来的にどれほど忙しくなろうとも、仕事を引き受けるしかありません。
このときに重要なのが、「どれほど」忙しくなりそうなのかをきちんとシミュレートしてみること。ここでは、連載第1回でご紹介したタスク管理ツール「Toodledo」を使います。そして毎日のルーチンタスクを抽出します。Toodledoを使っている人なら、毎日必ずやっている仕事を抽出するのは簡単でしょう。
Toodledoを使っていない人でも、毎日やっている仕事を可能な限りタスクリストなどから拾い集めて、それにかかる時間を概算で算出すればOKですが、これはToodledoの「見積もり」機能を使うと便利です。そうして、毎日のルーチンタスク全部にかかる時間に、1カ月先のアポにかかりそうな時間とを、足しあわせればいいのです。それが「どれほど」忙しいかの答えです。
この答えを得てみて、なお「断れないか」どうかを考え直してみましょう。
今回問題になっている「不安」は次の2つの葛藤(かっとう)が原因です。
この場合、どちらかの不安は引き受けなければならないのです。もちろん、どちらも引き受けたくないものでしょう。だからこそ悩むわけですから。
悩んでも、なかなか答えが出ないとき、やってみる価値があるのがシミュレーションです。特に、第2の仕事が回らなくなる不安の方が、シミュレートしやすいものです。「軋轢」と違って計算できるからです。
人間同士の「軋轢」については計算が難しく、何が起こるかを想像してみるしかありませんが、詳しく想像すれば、だんだんと冷静に判断できるようにはなります。
連載を通して何度もお伝えしていることですが、いつでも「不安」の基本原理は同じです。「先が読めないこと」。基本はこれにつきるのです。
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