人格主義は、私たちの人生を支配する原則が存在するという基本的な概念に基づいている。万有引力といった法則が自然界に存在しているのと同じように、人間の生活にも自然の法則がある。ある戦艦で起きた出来事で考えてみよう。
パラダイム転換――。インターネットなどの情報技術に発展により、時代の流れが速くなったと言われる現代。折しも、昨年秋ごろの世界的な金融危機にその流れはさらに加速しています。経済的な苦境を脱するため、ありとあらゆる戦略や戦術が語られてきました。しかし、この未曾有の時代に本当に必要なものとはなんでしょうか? 市場環境や状況がいかに変化しようと、変わることのない、原則・プリンシプルではないでしょうか。絶えず変化し続ける世界に対し、自分自身の中で原則を貫くことが苦境を乗り切る力になるのです。「7つの習慣」と「第8の習慣」は、原則に生きるための確実な羅針盤として、あなたを応援します。
『7つの習慣』(インサイド・アウト)より
人格主義は、私たちの人生を支配する原則が存在するという基本的な概念に基づいている。つまり、万有引力といった法則が自然界に存在しているのと同じように、人間の生活にも自然の法則があるということだ。それは地球上どこでも普遍であり、時間を超えて不変であり、つまりそれは絶対的なものである。
こうした原則を、具体的な話で考えてみよう。これは米海軍の発行誌『プロシーディングズ』の中で、フランク・コックという隊員が報告した出来事で、パラダイム変換についての物語である。
訓練艦隊に属する2隻の戦艦が、悪天候の中、軍事演習のため数日間にわたり航海を続けていた。私は先頭を行く戦艦のブリッジで夕暮れを迎えた。視界が悪く断片的に霧がかかっていたため、艦長もブリッジに残り、状況を見守っていた。
暗くなってから闇もなく、ブリッジの見張りが次のように報告した。
「艦首の右舷側の進路に光が見えます」
「停止しているのか、船尾の方向に動いているのか」
と艦長。
見張りの答えは、
「停止しています、艦長」
つまり、その船はこちらの進路上にあり、衝突の危険があるということだった。
艦長は信号を手に命じた。
「その船に対し、信号を出せ。衝突の危険があるため、20度進路を変更せよ、と」
相手からの信号が返ってきた。
「そちらの方が20度進路を変えるよう助言する」
艦長は再び命令した。
「信号を送れ。私は艦長だ。20度進路を変えるように」
すると、
「こちらは2等水兵だ。そちらの方こそ20度進路を変えるように命令する」
と返事が返ってきた。
艦長は怒り出し、
「信号を送れ。こちらは戦艦だ。20度進路を変えろ」
と叫んだ。
点滅する光の信号が返ってきた。
「こちらは灯台である」
我々は進路を変えた。
この艦長の経験したパラダイム変換は、その状況に全く新しい光を当てるものである。艦長の限られた知覚では見えなかった現実が見えてくる。その現実は、霧の中で航海を続ける艦長だけでなく、日常の生活を送る私たちにとっても理解しなければならないものだ。
さらに詳しい内容を知りたいという方は、書籍『7つの習慣』をご覧ください。次回はおもちゃを独り占めする娘の気持ちを変えるパラダイム転換をご紹介します。
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