「習慣の引力」を断ち切れ――アポロ11号の宇宙飛行士が克服したもの君はパラダイム転換を体験したか――『7つの習慣』より

習慣が私たちの生活に決定的な影響を及ぼしている。しかし習慣は学ぶことも、変えることも、捨てることもできる。きちんとしたプロセスと強い決意が必要なのだ。

» 2009年09月02日 10時15分 公開
[スティーブン・R・コヴィー(訳:ジェームス・スキナー、川西茂),フランクリン・コヴィー・ジャパン]

苦境の時代にこそ原則(プリンシプル)の力

 パラダイム転換――。インターネットなどの情報技術に発展により、時代の流れが速くなったと言われる現代。折しも、昨年秋ごろの世界的な金融危機にその流れはさらに加速しています。経済的な苦境を脱するため、ありとあらゆる戦略や戦術が語られてきました。しかし、この未曾有の時代に本当に必要なものとはなんでしょうか? 市場環境や状況がいかに変化しようと、変わることのない、原則・プリンシプルではないでしょうか。絶えず変化し続ける世界に対し、自分自身の中で原則を貫くことが苦境を乗り切る力になるのです。「7つの習慣」と「第8の習慣」は、原則に生きるための確実な羅針盤として、あなたを応援します。


『7つの習慣』(人生の扉を開く)より

 私たちの人格は、繰り返される習慣の結果として育成されるものである。昔の格言に「思いの種をまき、行動を刈り取り、行動の種をまいて習慣を刈り取る。習慣の種をまき、人格を刈り取り、人格の種をまいて人生を刈り取る」というものがある。

 習慣が私たちの生活に決定的な影響を及ぼしている。習慣によって無意識のうちに生活のパターンが決められ、人格が育成され、そして生活そのものが効果的あるいは非効果的なものになってしまう。

 偉大な教育者だったホーレス・マンは次のように表現している。「習慣は太い縄のようなものだ。毎日1本ずつ糸を撚(よ)り続けると、やがてそれは断ち切れないほどのものになる」。個人的に私は、この発言の後半には同意できない。なぜなら、私は、習慣は断ち切れるということを確信しているからだ。習慣は学ぶことも、変えることも、捨てることもできる。しかし、それは応急処置だけでできるものではない。きちんとしたプロセスと強い決意が必要なのだ。

 アポロ11号が月へ行き、はじめて人類は月面を踏み、そして地上に戻ってきた。それを見ていた私たちはテレビに釘づけにされ、ただただ興奮して見守るばかりだった。「すごい」とか「信じられない」とかいう最大級の形容詞を使っても、とてもそのときの感動を十分に表せるものではない。しかし、そこまで到達するのに、宇宙飛行士たちは、文字どおり地球の強い引力を克服しなければならなかった。ロケットが上昇する最初の数分間、数キロで必要としたエネルギーは、それから後の数日間、約70万キロにも及ぶ旅をするために使用したエネルギーをはるかに上回るものであった。

 それと同じように、習慣もきわめて強い引力を持っている。それはたいていの人が考えている以上のものである。後まわし、短気、批判、わがままなど、生活を支える原則に反する深く根付いた癖を捨てることは、弱い意志とわずかな努力だけでできるものではない。しかし、その引力からいったん脱出すれば、全く新しい次元の自由を手に入れることができる。

 ほかのすべての自然の力と同様に、引力は敵にも味方にもなり得る。習慣の持つ引力は、あなたが今行きたい方向に進むことを妨げているかもしれない。しかし同時に、引力によって地球は保たれ、惑星の軌道も宇宙の秩序も維持されていることも事実である。強い力だからこそ効果的に使えば、習慣の引力は有意義な生活を確立するのに必要な秩序をつくり出してくれるのである。


 連載「君はパラダイム転換を体験したか――『7つの習慣』より」、いかがだったでしょうか? 誠 Biz.IDでの連載は今回でいったん終了です。さらに詳しい内容をご覧になりたい方は、書籍『7つの習慣』で続きをお楽しみください。


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