交際費? 会議費? 「経費で節税」のポイントを押さえよう個人事業主もサラリーマンも読める「税金の話」(1/3 ページ)

個人事業主もサラリーマンも読める「税金の話」。今回は「経費計上」「固定資産の減価償却」による節税がテーマだ。

» 2010年02月23日 09時09分 公開
[奥川浩彦Business Media 誠]

 個人事業主もサラリーマンも読める「税金の話」。これまで扶養控除医療控除、住宅ローン減税などの点から節税について考えてきたが、今回は「経費計上」「固定資産の減価償却」による節税がテーマだ。

経費を増やして節税

 個人事業主には、控除以外に税金を減らす方法として「経費を増やす」手がある。サラリーマンの方は直接は関係ないが、仕事で領収書をもらうケースは多々あるだろう。個人事業主の経費を理解すると、サラリーマンの方も、取引先と食事をして領収書をもらったり、備品を購入して領収書をもらったりすることへの認識が変わるかもしれない。

 職種により経費は異なるが、一般的には水道光熱費、旅費交通費、通信費、接待交際費、消耗品費、地代家賃……というのが事業をするための経費だ。例えば業務に必要なパソコンやデジカメを購入すれば経費が増える。仮に20万円経費が増えたとしよう。売上が960万、ここまでの経費が360万、控除が190万、課税所得が410万円のケースで計算してみると、

経費:360万円→380万円

所得税:39万2500円→35万2500円=4万円の減少

住民税:42万6500円→40万6500円=2万円の減少

事業税:15万5000円→14万5000円=1万円の減少

 合計7万円の税金が減ることになる。20万円の経費(支出)に対し7万円は35%。気分的には35%ポイント還元で買ったような気がしてうれしくなる。課税所得が300万円くらいの人なら経費に対し25%、800万円くらいの人なら38%の税金を減らすことができる。

 次は取引先と飲みに行って2万円の領収書をもらったとしよう。この場合は10分の1なので、所得税、住民税、事業税の合計で7000円税金が減ることになる。課税所得の金額によって(=儲かり具合によって)率は異なるが、飲み代の何割かが税金で戻ってくるわけだ。

 では、サラリーマンの場合はどうだろう。取引先と飲みに行って領収書をもらい、会社で精算すると2万円全額が財布に戻ってくる。あくまで個人としての負担が0円なのがサラリーマンだ。相手もサラリーマンなら、どちらの社名で領収書をもらっても、お互いに財布に負担はないが、相手が事業主の場合は、払った金額の半分以上は事業主本人が負担してることを認識しよう。

 せっかくなので、サラリーマンがもらった領収書について、もう少し考えてみよう。会社(法人)の税金はかなり複雑なのだが、大まかに言うと法人税、法人市民税、法人県民税、法人事業税からなる。会社の規模(資本金、従業員数、拠点数)や所得金額によって税率(税額)は異なるが、全部合わせて約40%くらいになる。

 デジカメなどの消耗品(備品)を購入した場合は、個人事業主と同じように税金を減らすことができる。最終的な税率が40%なら、20万円分の経費で8万円の税金が減る。では飲みに行った2万円の領収書はどうなるだろうか。

 接待交際費は、資本金1億円以上の会社では経費として認められない。1億円以下の会社でも、年間の合計が400万円までは90%が経費として認められるが、それ以上は経費としては認められないルールだ。

年間400万円未満 年間400万円以上
資本金1億円以下 交際費の90%は経費 360万円が上限
資本金1億円以上 経費として認められない

 「経費として認められない」ってどういうこと? と思う人もいるだろう。例えば、個人事業主が取引先と食事をした場合は仕事に必要な経費だが、家族と食事した場合は仕事と関係ない支出だ。それは売上から経費を引いて、さらに税金も払って手元に残った「個人事業主の手取り」から払ったことになる。要するに最終的に残った利益から自腹で払うわけだ。法人税の経費として認められない接待交際費も似たようなもので、単純に利益を食いつぶす支出となるわけだ。

 ちなみに接待交際費には定義がある。平成18年度税制改正において、1人当たり5000円以下の飲食費について交際費から除外されることになった。5000円以下であれば接待交際費ではなく、経費に認められる会議費として処理することができる。

 飲食の領収書を精算するときに「取引先の社名と参加した人の名前を記入して……」と言われたことがあるだろう。2万円の領収書は4人なら8000円税金が減るが、3人なら減らないというのがその理由だ。税に詳しく、会社に献身的なサラリーマンなら、4人で2万500円の飲み代を、500円自腹で払って2万円の領収書をもらえば、会社に8000円の節税をもたらしたことになる。さて、あなたならどうする。

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