タグにもノートブックにも頼らない、Evernoteの“一番シンプル”な使い方あなたの不安、見積もります

Evernoteを使いこなす人は、「すべての情報を集約する」ことのメリットを説きます。しかし、あまりにも多機能で使いこなせないという人は、タグ付けもノートブックの使い分けもやめてみましょう。

» 2010年03月26日 11時30分 公開
[佐々木正悟,Business Media 誠]

 日本語版も公開されていよいよ話題の「Evernote」ですが、これをふだん使いのメモとして使うには、情報が多くなりすぎて扱いきれないのでは、と不安になる人もいるようです。

ビジネスパーソンの気になる疑問

 佐々木さんは「どんな情報でもEvernoteに集約すること」を勧めていますが、そうすると目的のメモを探し出せなくなるような気がして不安になります。機能も多すぎて、自分には使いこなせそうにありません。ノートブックやタグの作り方次第で、こうした不安は解消できるのでしょうか?


 こうした不安を抱えているのであれば、むしろ当面は「ノートブック」や「タグ」を作らないようにしてみましょう。ただ1つのノートブックに、タグなしであらゆるメモを投げ込むのです。

 メモを取って探し出すという目的に特化することを考えた場合、「ここになければ、ほかの場所にはない」という状態を作り出すのがベストです。この原則さえ守れれば、「ここを探してなければ、ない」と腹をくくれるようになり、不安も安らぐかもしれません。

 さて、ノートブックが1つだけでタグも作らないとなると、メモの検索方法としては、

  • キーワード検索
  • 作成/修正日時

 基本的にこの2つが軸になります。Evernoteは日本語化してキーワード検索の精度が大いに上がりましたし、当面はキーワード検索でほとんどのメモを見つけ出せるはずです。Evernoteがこのように進化した以上、やはりあらゆる「目にとまった文章や光景」を全部ここに集めるべきです。

 少々強烈な表現になりますが、Evernoteは「メモが腐ることのないゴミ箱」だと考えましょう。つまり、目にとまったあらゆることを、Evernoteに「捨てる」のです。そして必要なメモだけを、後から拾い出す。そういう考え方に切り替えれば、きちんと整理されていないから不安、といった気持ちからは解放されるはずです。

 キーワード検索に加え、日時検索も便利な検索方法の1つです。例えば[属性]→[作成日時]→[以前・以後]とメニューをたどってみてください。この機能を使えば、「先週よりは確か前で、先月よりは後にメモした」というメモだけに絞ってノートを探す、といった操作ができます。

 この方法は強力で、メモ魔になる習慣さえつけてしまえば、「少しでも頭をよぎった」ことを必ずEvernoteで再発見できるようになります。

 以上でもまだ心配だという人は、「日時検索」をバックアップするために、行動記録を利用しましょう。といっても行動記録を取るのは面倒なので、Twitterを利用します。Twitterにつぶやいた内容を、twtr2srcなどを用いて自動的にEvernoteに流し込むのです。

 こうしておけば、Evernoteで行動記録をチェックし、それによって、だいたいの日時には何をしていたかを思い出すことができます。この内容もまた、キーワード検索で探し当てることができるのです。例えばわたしは、この記事を書くにあたって大手町へうち合わせに行った日の午後に何をして、何を見て、何を考えていたかを、すべてEvernote上で確認できます。

 タグやノートブックの使い分けをせずに情報を集めた場合、どうしても検索テクニックが重要になってきます。検索ボックスを利用して作成日時を絞り込むなど、さらにステップアップしたテクニックについては、拙著『Evernote ハンドブック』も参考にしていただけると幸いです。

筆者:佐々木正悟

 心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。


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