英語を使うのは難しい? 確かに本場の英語は難しいかもしれません。ところが世の中には英語を母国語としない人たち向けの簡略化した英語である「グロービッシュ」というものがあるのです。これなら全英単語の0.15%でOK――かもしれません。
先週の記事で会社の朝会を英語化したという話をしました。そのきっかけは、もちろん楽天やユニクロなど一部の企業で「社内公用語の英語化」というニュースがあったことも事実なのですが、実は「Newsweek日本語版」の6月30日号を読んだことも大きなきっかけとなりました。その特集は「英語じゃなくて Glob・ish」というものです。
「Glob・ish(グロービッシュ)」を調べてみるとWikipediaに「グロービッシュ(Globish)」の項目などがありました。それらによるとグロービッシュは、元IBMのフランス人、ジャン=ポール・ネリエール氏によって共通語として提唱された簡易型英語。英語を母国語としない非ネイティブスピーカー同士の共通言語としてユーザーが急速に増えているという記事だったのです。
まあ、平たく言えば「英語がしゃべれない同士、カタコトでもいいから英語でコミュニケーションしようぜ!」というわけです。
本来、英語を話すという行為は目的ではありません。英語を話す先に別の目的があるはずです。外国人に意志を伝えたい、英語で書いてある文献の意味を知りたい、外国で自分の力試しをしたい……。英語はこうした目的を果たすための仕事の道具に過ぎません。仕事道具であれば、コミュニケーションの目的さえ果たせれば問題ないはず。
小説やポエムに出てくるような叙情的な表現なんて要らないわけですから、なるべくシンプルな文章で短時間に意志を伝えることができればよいのです。その点においては、簡略化した英語であるグロービッシュをマスターすることは、まさに知的生産性の向上にもってこい――ということなんですね。
ご存知かもしれませんが「グロービッシュ」で使う語彙(ごい)は1500語と決まっています。アメリカ文学を読みこなす際に必要な難解な単語やフレーズは一切覚える必要ありません。非ネイティブ同士なら、お互いそのほうが楽ですし……。試しに、下記のビデオを見てみましょう。グロービッシュによる、グロービッシュの解説映像です。あなたは、どのように感じましたか?
このビデオでジャン=ポール・ネリエール氏が語っているように、わたしたちのような非ネイティブの英語は完璧である必要はありません。相手が理解できればよいのです。アメリカ人のスピーチの冒頭で語るような気の利いたジョークも、シェークスピアの引用も覚える必要はありません。これは、大変な時間とお金の節約につながります。
米テキサスに拠点を構える Global Language Monitorによれば、2009年に英単語の数がはじめて100万語を超えたそうです。1500語と言えば、この0.15%にしかなりません。存在する英単語のわずか0.15%をマスターすることで、英語を母国語とするネイティブ(3億7000〜3億8000人)と、英語を話す欧州、アジア、アフリカ、南米など非英語圏の人々(15億〜16億人。一説には20億人とも)とコミュニケーションがとれるわけですから、やらない理由はありません!
前回、わたしの会社が「朝会だけを英語化した」という話をしました。すべては、小さな変化から始めましょう。その方が無理がなく進められます。小さな変化も毎日やれば、すごく大きな変化になります。その変化は、あなた自身を大きく成長させ、世の中における価値を高めることでしょう。
知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
連絡先: nagata@showcase-tv.com
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