Googleで変わった――「超」整理手帳と野口悠紀雄のクラウド仕事法「超」整理手帳の野口悠紀雄氏に聞く(2/2 ページ)

» 2011年11月28日 12時40分 公開
[上口翔子,Business Media 誠]
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スケジュール管理、ToDo、メモを1つのアプリ内で実現

――「超」整理手帳のiPhone/iPadアプリもバージョンアップしています。2010年にiPad版、2011年にiPhone版をリリースしましたが、開発のきっかけは何だったのでしょう。

野口氏 「超」整理手帳のアプリは以前から作りたいと思っていました。というのも、紙の「超」整理手帳を作ったときから、自分でデータを管理できるシステムが欲しかった。それを実現するのがWebの技術だったんです。「超」整理手帳のアプリはGoogleカレンダーとの同期でそれを実現しました。そういう意味で、Googleカレンダーとの同期がこのアプリ最大のポイントだといえるでしょう。

「超」整理手帳 for the iPad。スケジュールを「2週間」「8週間」「18週間」で表示でき(画面が縦表示の場合。横表示のときは「4週間」「12週間」「24週間の表示が可能)、紙の「超」整理手帳と同様にメモ機能を搭載している。
メモは全体(ジラフメモ)、日にちごと(デイメモ)、予定ごとに設定できる

――iPad版とiPhone版がありますが、野口さんはそれぞれどのように使っていますか?

野口氏 iPadはメモの入力や確認、iPhoneは手書きしたメモなどを撮影して投稿するのと、基本的には確認用として使っています。食事をしている時などに気軽な気持ちで書いたものをスマートフォンで撮影してアプリに入力し、それをPCで後から確認して書き起こすなど。PC、iPhone、iPadで全てのデータを共有しながら、登録はそれぞれ適した端末から。よってアプリの用途としてはスケジュール管理、ToDoに加えて、半分ほどがメモといえるでしょう。アプリのメモ機能(ジラフメモ)はメール送信もできるので、自分のGmail宛に送ってプッシュ通知、という使い方もできます。

――メモはジラフメモの他に日付や予定と紐付けて登録できるものがありますが、それらはどういった使い分けをしているのでしょうか?

野口氏 日付けに紐付けて登録できるメモ(デイメモ)は、その日にやらなくてはならないこと(その日に思い出す必要があること)を記録します。予定の部分は、その予定の中(例えば会議など)で決定したことなど、関係するものを記録します。ToDoやメモを記録するのにアプリを閉じなくていい、そこが重要だといえます。

――EvernoteやTwitterなど、他のWebサービスとの連係は考えていますか?

野口氏 今のところ考えていません。「超」整理手帳のアプリは、Googleカレンダーと連係して、メモ機能があって、その中で全てが完結しています。システムとして優れているGoogleカレンダーに「見やすさ」とメモや画像の「保存機能」を付加したことで、(もちろんまだまだ十分ではありませんが)仕事のワークステーションとして利用できるようになりました。ソーシャルメディアが持つ共有(口コミの)力は素晴らしいものですが、仕事用の手帳(スケジュール、ToDo、メモ)に必要な機能は、今の「超」整理手帳のアプリで実現しています。

――今後のアップデートについて教えてください。また、Android版のリリースは予定していますか?

野口氏 Android版ももちろん予定しています。機能面で一番やりたいのは、紙に書いたメモを自動でアプリに転送できる機能。これは、手書きメモをスマートフォンで撮影してデジタルデータ化(文字認識)するという意味ではなく、手書き部分はあくまで画像として保存して、保存先として日付けや予定に自動で紐付くものにしたいと考えています。現在はカメラロールにあるデータを予定の編集画面から選択して保存していますが、今考えている機能が実現できたらもっと手軽に手書きデータをアプリに保存できます。

――その他はどうでしょう?

野口氏 クラウド「超」仕事法の中でも紹介した「一生時計」(※)にも興味があります。生年月日を登録しておくと、その日は自分の人生のうちのどこに当たるのか。残り日数や時間を自動で表示するというものです。自分の人生が残り何時間かを意識したことはありますか? ちなみに私は(取材日11月18日15:00時点)で残り約4万時間です。

(※)日本人男性30歳の平均余命が50.37歳であることから円グラフ一周を80歳とし、現在の自分の年齢が人生のどの位置にいるのからを時計の針で示すもの

一生時計の例

野口氏 後は将来的な夢の機能として、過去の写真を集められるようなものがほしいと思っています。手帳は過去の日記(自分史)でもあるので、例えば「昭和20年代の新宿駅の写真をお持ちですか」と聞くと、その写真を保存していた誰かからもらえるなど。手帳がWeb(クラウド)とつながったことで、それまで紙の中に留まっていた情報の利用価値が何倍にも向上しました。まだ具体化はしていませんが、過去のデータをスライドショーか、年代別かで閲覧できるといいですね。

――ありがとうございました。


 「超」整理手帳アプリのリリースから約1年(iPad版)。月ごとの表示ではなく月をまたいだ連続的なスケジュールも表示てきる点やメモ機能がある点(写真添付とメール送信機能付き)が評価を集めたという。野口氏と提供元である講談社の担当者は、紙からデジタルになった手帳アプリとして唯一使えるものであると自負しており、今後も入念なメンテナンスを重ねながらアップデートを重ねていく予定だ。

 またアプリなので、一度の購入(買い切り)で永久に使用できる。これまで紙の「超」整理手帳を利用していたユーザーにとっても紙とクラウドをうまく併用できるアプリとして重宝できそうだ。

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