机もFacebookも偽装せよ!机を基地化せよ(3/4 ページ)

» 2013年04月25日 10時00分 公開
[美崎栄一郎,Business Media 誠]

やりたい仕事がほしければ「○○な本」を並べろ

 自分が今どんなことに興味を持っているのか、という情報の発信はとても大切な割に、意外と難しいものです。お酒でも飲みながら長時間話し込めば、そういう話題になるかもしれませんが、機会は決して多くありません。会社の同僚は友人ではありませんし、他人がどんなことに興味を持っているかなどを意識して探っていくような時間的余裕もありません。

 ところが、机の上に自分が興味を持っているジャンルを示すアイテムを置いておくと、とても強い吸引力を発揮してくれるのです。イメージをつくるのに最強なのは、本です。

 誰かの机にメモを置きにいったとき、机の上に置かれていた本や雑誌が今まで自分が持っていたその机の主のイメージと違う分野だった場合、とても強い印象を受けます。「へえ、この人、こんなテーマに興味があるんだ。意外だな」という感想を持ちやすいのです。

 とりわけ、本にはタイトルが付いています。タイトルには、一言でその本の内容を表現しているとても印象的で強いフレーズが使われています。ならば、実際に自分が興味のある分野、取り組んでみたい仕事を無言のうちに上司や同僚にアピールする看板として使えるはずなのです。

 偽装のために本を使う際に重要なのは、ある分野に興味があることをアピールするのなら、「王道の本」にこだわることです。マーケティングに興味を持っている三崎くんの例で言えば、分からないなりにコトラーの本を買ってきて机の上に置いていたことが、あこがれのボスの興味を引きました。

 これがもし、『図解! ○分で分かる簡単マーケティングの基礎チシキ』のようなタイトルの本だと、かえってネガティブな印象を与えてしまうこともあります。まだ何も知らないくせにお手軽に済ませようとしているとか、最悪の場合では軽薄な印象すら持たれてしまうのです。誰かの机をのぞいたとき、『もしドラ』を見かけた場合と、ドラッカーの不朽の名著である『マネジメント』を見かけた場合の違いです。

 誤解のないよう念を押しますが、僕は、何かの勉強をするなら必ず王道の本を買って、ちょっとくらい難しくてもかじりつけ、と言いたいのではありません。コトラーが理解できなければ図解がふんだんに使われている入門書を読めばいいし、『もしドラ』だって名作だからこそ売れたのです。ただしそれは机の上に置いてはいけないし、できれば読んでいることを人に見られないほうがいいでしょう。会社に持ってきているのなら、カバンの中か、引き出しの中段に突っ込んで隠しておくべきです。

 反対に机の上には、いきなりは理解できないような大学の教科書のような本物の解説書を並べておくことが大切です。あなたがその分野に興味があることを「意外だな」と感じとる力を持っている人は、既にそのジャンルについて一定の知識があるはずですから、何が本物で、何がそうでないのかは目がききます。

 興味があることをアピールしたいなら、そのジャンルで知らない人はいない王道の解説書、不朽の名著を買ってきて看板にしたほうが、断然いいのです。その中身がいきなり理解できなくても、あくまで当面は看板用、ほしい仕事を取るための「見せ本」用で構いません。さらに知識がない人にも分かりやすいタイトルが付けられた本であれば完璧です。

 これらは決して引き出しやカバンの中にしまう必要はありません。3〜5冊ほどを「リーディングレーン」に置いて、他人の目に触れるようにしておきます。そして、今まさに進行しているプロジェクトに選ばれるため上司にアピールしたいというような即効性を求める場合は、あえて机の上に出し、表紙を見せる形で置いておくと効果的です。

 また、この考え方は資料でも応用できます。より専門的な分野についてアピールしたい場合は、その資料を机に配置します。ただ、本のほうが背表紙でタイトルを示せますから、より便利であることは付け加えておきます。

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