机もFacebookも偽装せよ!机を基地化せよ(4/4 ページ)

» 2013年04月25日 10時00分 公開
[美崎栄一郎,Business Media 誠]
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Facebookでほしい仕事を釣る

 こうした考え方は、Facebookの浸透によってより理解されやすくなったように思います。誰かのFacebookの興味や趣味、「お気に入り」を見ていると、意外なジャンルを発見することがあります。本を使った偽装は、それをリアルな形にしていこうということなのです。

 上司からFacebookの友達申請が来てしまって扱いに困っている、スルーしていたら直接声をかけられてしまった……などという悩みがよく語られています。確かにFacebookをごくプライベートな用途だけに使っているのなら、そこに入り込まれることに抵抗感があって当然です。しかし見つかってしまった以上、無碍(むげ)に断ることも角が立ちます。

 そこで発想を転換してみます。上司が見に来ることを前提に、自分が興味のある分野、してみたい仕事を連想させるようにFacebookに仕掛けを作ってしまえばいいのです。

 僕は今、長年勤めた花王という会社を辞めてフリーで活動していますので、一層こうした考え方を強く持っています。僕が今何に興味を持っているか、何を得意としていて、何ならほかの著者よりも面白そうな本を書けそうなのか。そして今までまったく取り組んでこなかったけれど新しくやってみたいジャンルを、編集者に訴えなければなりません。

 もし僕がマネジメント論について興味を持っていたとしても、お気に入りに『もしドラ』が入っていたら、かなり微妙な印象を与えるに違いありません。仮に僕が『もしドラ』の熱烈な支持者だったとしても、Facebookにはその情報を載せない判断をしなければならないのです。

 極端な話ですが、自分の会社の社長の本棚に『島耕作』シリーズがずらっと並んでいたら、人によっては接待と恋愛だけでのし上がったのかというイメージを持たれるでしょう。社長の本棚は社長室でないと見られませんが、Facebookの「いいね!」を押した「お気に入り」は、社長室に入らなくても見られます。雑誌や記事などを「いいね!」する場合も、どんな印象を持たれるのかをよく考えなければならないと思います。

 Facebookはただ好きなものを並べればいいわけではありません。本名で公開している以上、それが他人に与えているイメージをよく考えたほうがいいでしょう。さらに一歩進んでそれを逆用できるようになれば、とても手軽に自分のイメージやブランディングをコントロールできます。

Facebook経由で連載の依頼が

 ちょっと種明かしをしてしまうと、僕はFacebookで歴史や城に関する興味をアピールしています。もちろん個人的にとても興味があるからですが、あわよくばこの分野の執筆依頼が来たらいいな、という、一種の「釣り」です(実際、来ました)。

 ここまで読んだ人は「やりたい仕事なら素直に『やりたい!』と言えばいいのではないか」と考えるかもしれません。やや脇道にそれますが、ビジネスパーソンは新しい仕事や分野に取り組みたいとき、自分で「やりたい」と言わないほうがメリットが大きくなります。

 何でもかんでも自ら進んで何かに興味があることを口に出せばいいかというと、決してそうではない。自己主張の強い人、面倒くさい人の悪い印象を与えてしまい、肝心の自分が興味のある分野の中身にまで相手の気持ちが入り込めないうちに、ネガティブなイメージだけを残すことになってしまう場合もあるのです。

 それを超えてでもやりたい、という気持ちを通すことをよしとする人もいるでしょう。しかし、自分で「やりたい」と叫んで始めた仕事は、全面的に自分の責任になることを覚悟しておかなければなりません。状況によっては、巻き込んだ人が「あなたがやりたいと言ったからでしょう?」と責めてきたり、最悪の場合逃げられたりしてしまっても自分で何とかしなければなりません。

 偽装のもう1つの目的は、責任のある立場の人から「ああ、あの仕事なら彼が興味を持っているみたいだから任せてみよう」という流れで仕事が舞い込むようにすることです。この場合、自分に任せたのはあくまで相手の責任なので協力的になってくれるのです。

著者紹介:美崎栄一郎(みさき・えいいちろう)

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会社員時代から文房具が好きで、文具術や仕事術に関する書籍を複数出版し、勉強会なども主催。2011年にフリーランスとなり執筆や全国で講演活動などを行っている。本連載の基となった書籍『超iPadバカ 2000種類のアプリをためした男のすごい活用術』(アスコム刊)のほか、著作に『結果を出す人はノートに何を書いているのか』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション刊)『iPadバカ』(アスコム刊)、『アイデアは才能では生まれない』(日本経済新聞出版社刊)、『がんばる人ほど見落としている気づかいの極意』(フォレスト出版刊)などがある。


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