「捨てる」は捨てないものを決めた瞬間に、脳が自動で選別するアタマの片付け(1/3 ページ)

頭の中から不要なものを物理的に捨てることはできませんが、重要なものを強く意識することで自然と情報は選別されていきます。今回はそのメカニズムを具体的に見ていきましょう。

» 2013年09月18日 10時50分 公開
[永田豊志,Business Media 誠]

連載『アタマの片付け』とは

 頭がモヤモヤしている人。迷ってなかなか判断できない人。問題をどう解決したらいいのか途方にくれている人。モノの片付けとは異なり、頭の片付け方は一朝一夕にはいきません。見えないし、イメージが湧きづらいのです。

 しかし頭がキレイに整理され、無駄なく、目的に応じて働くようになれば、モノの片付け以上に大きな成果を生み出します。さあ、始めませんか? 頭の片付けを!


海馬にまかせよ

 前回、頭の片付けのとっかかりとして「不要なものを捨てよ」「自分のテーマやキーワードをしっかり意識して情報収集せよ」という話をしました。頭の中から不要なものを物理的に捨てることはできませんが、重要なものを強く意識することで自然と情報は選別されていきます。今回は、そのメカニズムを具体的に説明したいと思います。

 まず、情報収集したものを取捨選択するのは誰でしょうか? それはあなたの脳みその「海馬」といわれる部分です。ここは、いわば情報の門番ともいえる存在でして、有象無象にくる情報の中から、本当に重要なものを選別して残すようにしています。

人間の脳は京の町家のようなものです。間口が狭く、奥に深い。だからいったん入ってしまえば結構なスペースがあるのですが、間口が狭いので、一度に入れられるものは限られているわけです。

 「だったら、何も考えずにガンガン情報収集すればいいじゃん! 海馬が勝手に選別してくれんでしょ?」と考える人もいるかもしれません。

 しかし、海馬が考える重要な情報とは、分かりやすく言えば生死にかかわるような情報です。大怪我した経験があると次からはその原因となるようなことを避けるようになります。大怪我したときの記憶はいくつになっても忘れられない鮮明な記憶となって刻まれます。海馬はそのように、情報を選別しています。

 当然ながら、試験勉強の中身や仕事の情報収集は、あなたの生死とはなんら関係はありません。知らなくても命に別条はありません。よってこうした情報はほおっておくとまったく頭に入らないのです。海馬の考える優先順位としては高くないのです。「エビングハウスの忘却曲線」というのを見たことがある人も多いと思いますが、断片的な記憶はすさまじい勢いで消えていきます。4時間で覚えたものの半分は消えてしまう。思いのほか、海馬の管理する情報の登竜門は狭いのです。

 私がキーワードやテーマを強く、強く意識せよ、というのはこのことです。

海馬に伝えるのです。「この手の情報は僕の人生に大きくかかわることだから、特別扱いしてね」と。こうした自分の脳への呼びかけを事あるごとに繰り返す。海馬は考えます。

 「何度も言うのであれば、よほど重要な情報なのだろう。よし、この手の情報は今度から優先的に入れていこう!」

海馬に伝えよう。このキーワード関連は自分にとって大切なものであると。そうすれば、海馬はいろんな情報が入ってこようとしたときに、うまく選別をして、関連するものだけを頭に入れてくれる
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