骨太なモチベーションとスイッチング技術が「やめる」を継続する鍵「やめる」習慣(1/2 ページ)

強いモチベーションを持ち、苦痛を軽減するためのスイッチング技術を身につけることで、「やめる習慣」を実践し続けられます。

» 2014年02月19日 11時00分 公開
[古川武士,Business Media 誠]

集中連載『「やめる」習慣』について

 本連載は、2013年12月21日に発売した古川武士著『新しい自分に生まれ変わる 「やめる」習慣』(日本実業出版社刊)から一部抜粋、編集しています。

 「嫌なことを先延ばしにする」「ネットサーフィンにハマってしまう」「夜更かしで次の日に影響が出る」など、長い目で見たらデメリットなのに、目先の誘惑に負けて、ついやってしまう習慣はありませんか?

 それらの「悪い習慣」を放置しておくと、人生に「負のスパイラル」をもたらします。本書では、2万人以上を導いた習慣化コンサルタントの著者が、誘惑に打ち勝ち、悪い習慣を確実に手放せる「やめる習慣メソッド」を紹介します。

 NLP(神経言語学的プログラミング)とコーチングに基づいたこの科学的メソッドで、悪い習慣を断ち、人生に好循環を起こしましょう!


「骨太の理由」からやめるモチベーションは生まれる

 世界ナンバー1コーチ、アンソニー・ロビンズは次のように言っています。

「卓越した結果を出している人は、人が苦痛だと思うこと、嫌だと思うことを目的に従わしている人である」

 例えば、ダイエットをするにしても、大好きな人ができて告白するとなったら、がんばって痩せられるでしょう。また、健康診断で血糖値が高く、このままだと糖尿病になる可能性があると指摘されたら、やはり危機感で痩せようと思うでしょう。

 このように、「何のために」という理由が強力であれば、目先の誘惑を乗り切りやすくなります。意志の強さ弱さではなく、「骨太の理由」をどう作るかが、「やめる習慣メソッド」を実践していく上で重要です。骨太の理由を作る際は、「危機感、快感、期待感」というキーワードを切り口にして考えるといいでしょう。

骨太の理由を作る3つの源泉

 1つめの「危機感」は、この習慣をやめなければ「こんな悪いことがある」というものです。例えば、タバコを吸い続けると肺ガンになる可能性がある。そうなれば、家族を路頭に迷わせることになる。このような危機感を抱くことです。コツは、自分の健康やそれによって悲しむ人を考えるといいでしょう。危機感はやめるための強力な理由の1つになります。

 2つめの「快感」とは、この習慣をやめれば「こんな良いことがある」という目先のメリットです。例えば、夜更かしをやめると、睡眠時間が7時間確保できて、昼は眠くならないし、朝起きるときにつらくなくなる。快適な1日を送れるというようなものです。やめることですぐに手に入るメリット、短期的に得られる快感です。

 3つめの「期待感」は、快感が目先のメリットであるのに対して、長期的なメリットです。やめ続けることでどんな効果があるか、仕事、人間関係、健康、家族への影響などに広げて考えていくといいでしょう。

 また、時間軸を伸ばして、やめ続けることで、半年後、1年後、3年後どんなことが起きるのか想像を膨らませていくことも有効です。例えば食べ過ぎをやめると、20代のころの体型に戻る。自分に自信がつくし、さらに運動をして身体を鍛え若々しい肉体が戻ってくる。会社でもオジサン扱いされなくなり、若い部下からも憧れられる、といった具合です。

 このように危機感、快感、期待感の3つの源泉から、やめるための「骨太の理由」を考えてみてください。そして「骨太の理由」は、紙に書いて、いつでも見られるようにしておくと、モチベーションを高め維持することができます。

苦痛を軽くする「スイッチング」の技術

 悪い習慣がやめられない理由の1つは、すでに述べたように、その習慣によって満たしている欲求があり、一定の心理的メリットを得ているからです。

 悪い習慣をやめるとき、心理的メリットを得る代替行動を用意しておくと、欲望との戦いはずいぶんと楽になります。具体的に禁煙を例にしてご説明しましょう。タバコを1日1箱吸っている人がいたとします。仕事でストレスがたまり「緊張」や「イライラ」した状態のとき、タバコを吸うことで「リラックス」という心理的メリットが得られます。もし、何も代替行動を用意しないでタバコをやめようとすると、ニコチン中毒と戦うだけでも大変なのに、さらに緊張、イライラのはけ口まで失うので余計に挫折しやすくなるのです。

 そこで、タバコを吸うという行為を、図のように、コーヒーを飲んだり、ガムを噛んだりという行為にスイッチング(代替)します。これによって、満たされない欲求による欲望を小さくすることができます。

スイッチングの仕組み スイッチングの仕組み

 私の例もお話ししましょう。私はコーラが大好きで、朝から飲むのが習慣になっていました。しかし、コーラの飲み過ぎは健康上問題があります。そこで、この習慣をやめるためにスイッチングの技術を使いました。まず、「満たされない欲求」は眠さ、気持ちのダルさ、心理的メリットは、刺激、眠気の解消でした。

 スイッチングの行動として、レモン味の炭酸水を飲むことにしました。炭酸とレモンの刺激があれば、コーラである必要性はなかったのです。これによって、過度なコーラの摂取をやめることができました。

 ただし、1つだけつけ加えておくと、すべての悪い習慣に心理的メリットがあるとは限りません。代替行為なしでスパッとやめてもいいのです。ともあれ、このように、スイッチングすることで心理的メリットを維持できればやめるときの苦痛が大幅に軽減されます。

 スイッチングするには、大きく3つのステップがあります。

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