プレイングマネジャーが力を発揮するとチームはダメになる?――最強チームの作り方(中編)ベストチーム・オブ・ザ・イヤー(2/2 ページ)

» 2014年02月20日 11時00分 公開
[ベストチーム・オブ・ザ・イヤー]
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―― 自分で何でもできてしまうがゆえに、任せることが難しいというプレイングマネジャーも多い。

齋藤氏: メンバーのストロングポイント(長所)を見極めるのが大事ですね。例えば5人チームの場合、「君はこれを事務的にまとめてね」「君は交渉に当たってね」というように、長所に合わせて役割を分担してあげると、チームのやる気も出やすくなります。

 「任せる」ことと、「まったく無関心でいる」ことは違いますよ。まったく口を出さずに任せっきりで回るチームもありますが、それはレベルが高いチームの話です。そこまでのチームでない場合は、リーダーがその都度チェックや確認をすることが必要になってきます。

 「このペースでいいよ」「この方向性で大丈夫」とペースを調整するのも、リーダーの役割です。上手なチェック機能(システム)を自分の中で持つことができれば、「エースで4番」が引っ張るチームではなくなっていきます。

―― それができると、チームは回り始める。

齋藤氏: 逆に、プレイングマネジャーをずっとやっている人は、次のリーダーを育てられないという課題に直面するはずです。リーダーにとっては、そのチームで仕事をしたメンバーが仕事を覚えて、別のチームのリーダーに育成していくことも重要です。

 世界的なサッカー指導者のモウリーニョ監督は、カリスマで自己中心的だと思われていますが、一緒に仕事をしたビラスボアス監督は、今や超一流のチームで監督をしています。ビラスボアスがモウリーニョの元で育ったということですね。これはモウリーニョにリーダーシップがあったからこそ、新しいリーダーの育成が実現できたのでしょう。

あなたのチームは、本当にクリエイティブですか?

―― メンバーがリーダーシップを自覚するようになるのは、難しいのではと思います。

齋藤氏: その場合は、まずは「小さなリーダーシップ」から練習してみると良いです。私もよくやるのですが、チームで直面した課題ごとにワーキンググループ(作業集団)を作ってみて、そこで責任者やリーダーを決めるんです。

 人数は3〜4人くらいがいいですね。その小さな集団でみんなが責任とリーダーシップを持って仕事を引き受け、その課題をチーム全体に報告する練習をする。3人ぐらいのチームですと、リーダーにカリスマ性がなくてもチームで業務を回せるんですね。

 「最初は数百万の投資でもドキドキしたけど、次第に何千万、何億円と投資しても驚かなくなった」。とある会社の社長がこんな話をしていました。それと同じでリーダーシップも慣れなんです。「最初は小さなリーダーシップ」というように範囲を限定して、練習してみると良いです。

―― お話を聞きながら、チームワークは絆や精神的なつながりだけではなく、もっと機能的で、訓練によって強くしていけるものだと思いました。改めて、齋藤先生が考える「新しいチームワーク」とは?

齋藤氏: 私にとってのチームワークは、スポーツとほぼ同じです。チームで新しいアイデアを出し合い、ゴールに向かうサッカーのようなものですね。そこでどうしても必要なのは、クリエイティブな関係性をチームで作るということです。

 クリエイティブとは「新しい意味や価値が生まれる」という意味です。例えば、立て込んでいる業務を「こんなアイデアで改善してみよう」と効率化する、メンバー同士で雑談をしながら「あそこの連絡でミス多くない?」「では確認の中でこういう段取りにすればミスを減らせるよね」と声を掛け合う。これもクリエイティブな関係性です。

 普通の業務にもクリエイティブさが要求されているということです。むしろ、あらゆる仕事のあらゆる場面で、クリエイティブが必要になっているんですね。

つづく

(取材・執筆:藤村能光/撮影:橋本直己)

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