一生を1社、1仕事で終えるのがマイノリティになる時代一生食える「強み」のつくり方(1/3 ページ)

これまでプチスキルの実際の選び方や学び方などを紹介してきましたが、プチスキルをかけ算して強みをつくるにあたり、会社とどう付き合うかは重要な問題です。変化が激しい時代における「会社」との付き合い方を考えていきましょう。

» 2014年05月21日 11時00分 公開
[堀場英雄,Business Media 誠]

集中連載「一生食える「強み」のつくり方」について

本連載は、堀場英雄著、書籍『「プチスキル」をかけ合わせて「レア人材」になる 一生食える「強み」のつくり方』(日本実業出版社)から一部抜粋、編集しています。

ビジネスの世界では長らく、習得に1万時間(10年)を要する「プロスキル」が重視されてきました。しかし、会社もスキルも「突然死」しかねないこれからの時代には、2500時間(2年半)という短時間で習得できる「プチスキル」が不可欠です。

本書では「プチスキル」の選び方を「戦う土俵(仕事)」「戦う武器(スキル)」に分けて説明し、その学び方を3ステップで紹介。事例を含めた試し方を具体的に学んでいきます。

習得した「プチスキル」を複数かけ合わせることで、他のビジネスパーソンにはない「強み」を持った、「レア人材」になれるのです。


一生を1社・1仕事で終えるのがマイノリティになる時代

 今や、一流企業に一度就職すれば一生安泰とはいかない時代です。これには、大きく2つの理由があると考えられます。1つは、IT化やグローバル化による急激な競争環境の変化の中で、スマホのカメラにその地位を奪われたデジカメのように市場が突然なくなり、ひいては会社がなくなる可能性です。もう1つは、同じように環境変化に伴い、スキルが陳腐化するなどの理由で、自分の仕事がなくなりリストラされる可能性です。

 1つめの「会社がなくなってしまう」ケースを考えましょう。例えば、2003年、日本の家電メーカーがこれほどの苦境に陥るとは誰も想像できなかったのではないでしょうか。2012年3月期のパナソニック、ソニー、シャープ3社の赤字額の合計は1兆円を超えています。当時、もしも私がパナソニックから内定をいただき、ヤフーやグーグルからも内定をいただいていたら、私の両親はどちらをすすめたでしょうか? きっとヤフーやグーグルはすすめなかったでしょうし、私自身も当時なら日本の家電メーカーを選んだと思います。10年後の将来に何があるか、誰にも予測できない時代なのです。

 2つめの「自分の仕事がなくなってしまう」ケースですが、日本では、正社員については裁判所の判例に基づいて、簡単にはクビにできない「解雇規制」がとられています。解雇規制とは、「使用者が労働者を解雇するためには、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合でなければならず、これに反する解雇は無効である」というものです。

 しかし、安倍政権が発足させた有識者会議で「労働力の流動化」が大きなテーマとなっており、この中で解雇規制の見直しもテーマとして議論されています。正社員だからといって安心はできない時代がやってくる可能性は十分あります。そもそも、日本の外を見れば、雇用調整は当たり前です。多くの会社で当たり前に雇用調整が実施されるようになる日は、遅かれ早かれ多くの企業にやってくる可能性が高いのです。

 このように考えると、今後は、1つの会社で1つの仕事を10年やるということはリスクがかなり高いと考えられます。とはいえ、3日坊主で会社を辞めてしまっては、何もスキルが身につきません。

 10年は長いとすると、逆に、少なくともどれくらいの期間は1社にいる必要があるのでしょうか? 1つの仕事をそれなりにこなせるようになるには3年は必要です。ちょうど、かけ算でプチスキルを習得するのに必要な2年半(2500時間)と同じくらいの期間です。

 スキルを習得する前に転職するのはよくないので、1社最短でも3年在籍とすると最短で3年ごとの転職が可能です。22歳で大学卒業後、このペースで4回転職するとその時点で12年たち、34歳になります。この年齢は、自分に強みがないと転職が難しくなる年齢です。10年も1つの仕事を続けるというのはリスクがあります。一方で、かなり早く転職をくり返しても、30代前半までに4社で働くことが限界だと分かります。

 これからの時代は1社あたり3〜10年の期間の間で自分のスキルが最大限に磨けるよう、会社との付き合い方を自ら選択する必要があります。今までの時代は優良企業に選ばれることに集中すればよかったのですが、これからは自分の価値観の軸に基づき主体的に会社や仕事を選ばなければ、食いっぱぐれる可能性があります。

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