一生を1社、1仕事で終えるのがマイノリティになる時代一生食える「強み」のつくり方(3/3 ページ)

» 2014年05月21日 11時00分 公開
[堀場英雄,Business Media 誠]
前のページへ 1|2|3       

「会社へ投資する時間」「自分へ投資する時間」の配分を最初に決める

 会社も仕事もなくなりかねない時代において、会社のために使う時間と自分の成長のために使う「自分時間」をどのように配分するとよいのでしょうか? もしも、将来会社側の人間になれるチャンスがあるならば、迷うことなく会社のために時間を投じるというのも1つの考え方です。なぜなら、トップ20%の人材として認められていれば、社費でMBA派遣してもらえるなど、会社から投資をしてもらえる可能性が高いからです。会社が投資してくれるならば、それを利用しない手はありません。

 一方でこのようなチャンスを得られる人はごく一部です。30歳を過ぎたあたりから社内選抜が始まりますので、残念ながら会社側の人間に将来なれないことが分かった場合には、もしくは会社側の人間になる気がない場合には、会社のために使う時間と自分時間の配分を自分で決めなければいけません。

 くり返しになりますが、プチスキルのかけ算キャリアは必ずしも楽な道ではありません。1万時間のプロに勝てる可能性があるとすると、それと同等レベルの投資(2500時間×4つ)が基本的には必要です。加えて、かけ算ならスキルが陳腐化するリスクは低くなるメリットはあるものの、スジのよい組み合わせが求められるという点でプラスアルファのスキルが必要です。

 30代に入り同期との差がどんどん明確になっていくとき、会社人生しかなかった今までの時代は、差がつくと挽回するのはほぼ不可能でした。ドラマ「半沢直樹」で描かれた銀行の世界のように一度出向となったらおしまいだったのです。選抜から漏れた時点で、どれだけがんばっても無駄です。しかし、これからの時代は1つの会社のレースで負けたからといって、人生で必ずしも差がつくわけではなく、会社の外でチャンスをつくれます。これが、かけ算キャリアが生かせる今の時代のよいところです。

 ただし、前述のとおり、会社に投資してもらえる選抜組の同期に差をつけられないためには、同じ程度の努力は必要です。出世コースの同期は月の労働時間160+残業90時間=計250時間すべてを会社のために使うとしましょう。かけ算で負けない状態に持っていくためにはどうすればいいのでしょうか?

 さすがに残業ゼロとはいかないので、勤務時間が160時間+残業40時間=計200時間を会社時間とします。選抜組の同期はあと50時間がんばっているのですから、この差分の50時間を自分時間として確保します。これは選抜組が働く時間250時間のうち50時間ですので自分時間は20%となります。

 グーグルには、日々の仕事の20%は自分の好きなことをやってもよいという「20%ルール」があります。あなたも、自分時間をこのように決めてしまえばグーグルで働いているのと同じです。年間600時間を自分のスキルアップのために投資できます。このペースだと4年で1つのプチスキルを習得できます。

 これからの時代は年金の保証もまったくないので、65歳どころか70歳を過ぎても働き続ける可能性が高いのです。そんな時代だからこそ、20%の時間を仕事以外の自分時間に投資することは、長期的なキャリア形成を考えた場合も、決して損をしない時間の使い方のはずです。

(つづく)

著者プロフィール:

堀場英雄(ほりば・ひでお)

1978年生まれ。名古屋大学卒業、米国の大学院卒業(原子核工学修士)。

20代はGE、BCGといった一流外資企業でプロとしての成功を一途に目指す。

30代になり大手日系メーカーに勤務しながらも、今まで習得してきた「英語力(米国大学院)×財務スキル(GE)×戦略立案力(BCG)」のかけ算で、オンライン英会話学校バリューイングリッシュを設立。同校の学長を務める。

多忙な留学・社会人生活の中でも、効率的に次々とスキルを習得する力には定評がある。


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ