清水建設では、Smooth Fileの採用によって、データ共有インフラの運用コストを「従来の10分の1」程度まで削減することを目標に移行を進めてきた。実際の運用開始により、ほぼその目標を達成しているという。
容量あたりの利用料金が安くなったこと以外にも、コストを大幅に削減できた要因は複数ある。そのひとつは、Smooth Fileの標準機能として「ファイル共有」だけではなく「ファイル転送」の機能も用意されていたことだ。
「従来は、プロジェクトのためのファイル共有サービスと、外部の関係者にファイルを渡すための暗号化が可能なファイル転送サービスを個別に契約して運用していました。Smooth Fileへの移行によって、これらを同時に利用できるようになっています。これも、コスト削減に大きく寄与しました」(寺平氏)
さらに、会社単位での契約と全社規模でのユーザー管理が可能になったことで、情報システム部門の運用管理コストも大幅に軽減できたという。これについては、Active Directoryで構築している社内情報システムのユーザー情報と、Smooth Fileとの連携機能を作りこむことで、大幅な省力化を実現した。
運用開始後の、使い勝手に対するユーザーの評価も悪くないという。Smooth Fileでは通常のWebブラウザクライアントとは別に、Windowsアプリケーション版のクライアントも用意されている。
「Windowsアプリケーション版では、通常のWindowsアプリを使うのと同じ、マウスによるドラッグ&ドロップといった操作で、複数のファイルをまとめてアップロードやダウンロードができます。クラウドへのアクセスを意識せずに、セキュアにファイルを扱うことができるようになっています」(須田氏)
また、サービスへのアクセスも、社内からはSSO(シングルサインオン)を経由して透過的に、社外からの場合は個別にSmooth File用の認証システムを経由してログインするということを可能にしている。例えば出張先や海外などで、必要なデータにアクセスする自由度が以前のシステムよりも増したことで、ユーザーの満足度も上がっているという。
清水建設の要望でSmooth Fileに実装された機能の一部は、「Smooth Fileエンタープライズ版」として、現在では他の企業ユーザーも利用できる形で提供されている。プロットの企画営業部で部長を務める坂田英彦氏は「エンタープライズ版は、企業がファイル共有インフラを運用していくにあたって必要な機能を、清水建設の経験に基づいた要望に合わせて実装したもの」だと話す。今後も、ユーザーのニーズを柔軟に取り入れつつ、より使いやすいサービスとして機能強化を図っていく計画だという。
寺平氏に今後の要望について聞くと、全社規模で管理しているドキュメントに検索をかけたり、利用状況、ユーザーなどを管理したりする際のパフォーマンスが高められれば、さらに使いやすいシステムになるだろうという答えが返ってきた。
また、今後の運用については、新たに「自動同期」の仕組みを作ることを検討しているという。
「今後は、海外のプロジェクトでSmooth Fileによるデータ共有をするようなケースも増えると思います。海外にはネット回線の速度が遅いところもある。こういう場合に、例えば事業所内のファイルサーバとSmooth Fileの内容を、夜間などに自動で同期するような仕組みができれば、より便利に効率よく使えるのではないかと考えています」(寺平氏)
こうした機能強化については、今後も清水建設とプロットとの協力の下で、実現を目指して動いていきたいという。もちろん、そこで新たに実現した機能の一部は「Smooth Fileエンタープライズ版」の標準機能として、他のユーザーに対しても還元される可能性が高い。
「現在では、清水建設が標準で利用するファイル共有、転送サービスはSmooth Fileに完全に移行しており、その上で数百のプロジェクトが動いています。全社単位での容量契約ですので、社内での利用率が上がれば上がるほど、全体でのランニングコストはさらに削減できます。社内のユーザーには、従来のようなプロジェクト単位での容量コストを気にせず、情報共有の効率化のために、気軽にサービスを活用していってほしいと考えています」(寺平氏)
プロットのSmooth Fileは、BBソフトサービスが開催したモバイルクラウドソリューション決定戦「スマONEグランプリ」で頂点を極めた製品だ。
スマONEグランプリは、ノミネートされたソリューションの紹介動画を公開し、「クリック投票ポイント」と「合計視聴時間ポイント」を乗じたポイント数でソリューションへの興味関心度を測定するWebイベント。Smooth Fileは、2位に172万ポイントの大差をつけて見事グランプリに輝いた。
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