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» 2014年12月18日 05時00分 公開

CRMの基本:あの有名企業がCRM戦略を重視するワケ (2/2)

[坂本雅志,Business Media 誠]
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会員証のデジタル化で導入しやすくなる

 ファストファッション業界でも、CRM戦略が展開されています。

 GAPでは、「GAP MEMBERSHIP」という会員プログラムを展開しています。GAPで買い物をした人は見覚えがあるでしょうが、スマートフォンや携帯電話に表示される会員QRコードを読み取る小さな機械がレジの前に置かれています。顧客は購買にあたり、自分のQRコードを提示することで、毎回5%の割引が受けられます。

 その他、会員限定のシークレットセールや誕生月の割引、購入金額に応じた特典などがあります。

 GAPのオンラインストアでの購買実績も、1顧客1ID化の一環に取り込まれつつあります。いわゆるオムニチャネル戦略です。オムニチャネルとは、実店舗や通販サイトなどの販売チャネルを統合することですが、この動きは拡大を見せています。

各チャネルと顧客の関係が、情報を串刺しすることによって、一貫性のあるCRM戦略になる

 かつては店舗でスタンプカードや会員証を発行し、購入金額に応じて特典(ポイント)を付与するという施策が展開されていました。これもまたCRM戦略です。

 しかし、顧客が会員証を常に保有していないことで、結局、ポイントを失効させてしまうことがしばしばありました。ましてや、店舗側は個人情報まで獲得するのは至難の業でした。

 ICT(情報通信技術)の進展によりスマートフォンが万能ツール化している現代、こうした欠点は、「会員証のデジタル化」によって解消されました。実店舗を展開している小売業にとって、データベースマーケティングが劇的に導入しやすくなっているのです。

通信キャリアの新たなCRM戦略

 私たちが肌身離さず身につけているスマートフォンや携帯電話の通信キャリアでは、契約2年間は解約時に違約金が発生するといった商慣行や、せっかく購入した端末をSIMロックによって別のキャリアで使えなくするという方法がネガティブに取り沙汰されがちです。購入のハードルを下げるための「端末ゼロ円」の展開とともに、実はこれらもCRM戦略なのです。

 しかし、総務省は利用者の利便性向上や競争の加速のために、2015年度にはSIMロック解除の義務化や、解約時に違約金が発生する商慣行を見直す方針を固めました。通信キャリアも方針転換が迫られています。

 新たなCRM戦略として、NTTドコモは利用年数に応じた割引施策「ずっとドコモ割」や、家族でも1人でも複数の端末でパケット代を分け合える料金プラン「パケあえる」を導入しました。本来のCRM戦略の絵姿になりつつあります。

 他社も追随の動きを見せています。KDDIが展開する電子マネー「au WALLET」は、Web(オンライン)から実店舗(オフライン)へ誘導し、消費行動に結びつけるO2O(Online to Offline)をauのIDを用いて実現しようとするものです。ここでも、1顧客1ID化にこだわっています。

 このau WALLATは、おサイフケータイなどのいわゆる非接触通信による決済手段ではなく、磁気カードを採用しています。従来型のクレジットカードの読み取り端末で決済が可能なので、スマートフォンに決済機能を搭載できる「PayPal」と親和性が高く、小売店側の導入のハードルも低いため、日常のあらゆるシーンで活用することができます。磁気カードといってもクレジットカードではないので、クレジットカードを敬遠する人や子どもが持つカードとして効果的といえます。

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