「嫌なこと」には顧客心理が隠されている書くだけで人生がうまくいく嫌なことノート(1/2 ページ)

人間は「嫌なこと」が何よりも嫌いです。企画やアイデアは難しく考えず、嫌なことを入り口に考えてみましょう。嫌なことを解消することができるものなら、ヒットする確率は一気に上がります。

» 2014年12月24日 05時00分 公開
[嫌なことノート普及委員会,Business Media 誠]

連載:書くだけで人生がうまくいく嫌なことノート

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 この連載は書籍『書くだけで人生がうまくいく嫌なことノート』(アスコム)から抜粋、再編集したものです。

最近、「嫌なこと」はありませんか? 誰でも生きていれば、大なり小なり何かしらの「嫌なこと」にぶつかります。

 ・上司からのむちゃ振り
 ・料理が出てくるのが遅すぎるレストラン
 ・自分のミスを一切認めない先輩
 ・約束をドタキャンされた……

実は、「嫌なこと」には、あなたの人生を幸せにしてくれるヒントがたくさん詰まっているのです。

某有名企業は「嫌なこと」をビジネスに活用し、歴代の有名経営者は「嫌なこと」を経営に取り入れて成功してきました。

人生も同じ。より良い人生を送りたいなら、「嫌なこと」を活用しない手はありません。あなたも、手軽に「嫌なことノート」とともに、“人生革命”始めませんか?


「嫌なことをまず解消したい」という人間心理

 なぜ、「嫌なこと」に注目するとヒットが出るのか?

 その秘密は「顧客心理」にあります。マーケティングの世界では、「顧客のニーズを読め」「顧客の心理を探れ」ということがよく言われます。

 日本が高度経済成長を続けていたころのように、社会にモノやサービスが十分に行き届いていないときは、比較的ニーズを読むことは簡単です。しかも、砂漠の水のように「ある」ことが重要なときは、そこにモノやサービスを提供するだけで飛ぶように売れることになります。

 しかし、現在はニーズが細分化しモノを日本人が欲しがらなくなった時代では、ニーズを読むことは簡単ではありません。でも1つだけ、ニーズを読む、とても簡単な方法があります。

 それが、「嫌なこと」です。

 人間は「嫌なこと」が何よりも嫌いです。そして、不快なことがあるとすぐにストレスがたまるようにできています。たまり過ぎると、それが原因で体のあちこちに不具合が生じてきます。

 不快なことの最たる例が「痛い」です。痛みほど「嫌なこと」はないのではないでしょうか。歯が痛い、おなかが痛い、頭が痛い、足が痛い――それだけでもう気分は落ち込み、やる気は失せ、とにかく痛みを取ることが最優先になります。

 人は「嫌なこと」を我慢するのが、なりより「嫌」。そこに顧客心理が隠されています。「嫌なことを解消する」ことができる商品やアイデアであれば、ヒットする確率は一気に上がるのです。

 なにか企画やアイデアを考えないといけないとき、まずは難しく考えないで「嫌なこと」を入り口に考えてみてください。きっと、自分でも驚く切り口が見つかるはずです。

全国の苦情、クレームを集めた福井商工会議所

 全国から「嫌なこと」が集まっていた場所があります。

 福井商工会議所が運営するホームページ「苦情・クレーム博覧会」です(役目が終わったとして平成21年度に終了)。

 消費者から日ごろ感じている苦情やクレームを投稿してもらい、それを商品の開発やサービス向上に役立ててもらうことを狙いとして誕生したサイトです。地元企業ばかりでなく、大企業もこのサイトを利用していました。

 この情報をもとに開発された代表的な商品が、地元福井の傘店が発売している、ひと振りすると水滴が落ちるという傘。「雨の日に、混んだ電車の中で傘で服や靴がぬれる」という苦情から生まれた商品で、1本3万円以上する高級傘ですが、注文に生産が追いつかない状態が続いているそうです。トヨタの高級ブランド「レクサス」の関連グッズ「レクサスコレクション」にも採用されています。

 このサイトから誕生した商品はこれだけではありません。

  • 「浮き輪で遊んだ後に片付けるのがたいへん。空気を抜くのも時間がかかる」という苦情から生まれた、急速に排気できる栓を付けた浮き輪
  • 「新しいタオルは水を吸いにくく使えません。ほつれることがよくあります」から生まれた、福井県内の植物を使用した草木染加工で、環境にも優しく、吸水性も高いタオル
  • 「温度を抑えて、エアコンの使用を減らせないか」から生まれた、窓辺にアサガオなどを育てて植物で日光を遮る、緑のカーテン
  • 「1カ月入院したときに、シーツに熱がこもって嫌な気分だった。自分で交換することもできないし」という意見から生まれた、高い通気性、通水性、クッション性を持つ空気が出入りするベッドパッド
  • 「テープをはがすときの音がベリベリとうるさい」から生まれた、はく離音を最小限に抑えるだけでなく、通気性も改善したマジックテープ。

 年間3万〜4万件の苦情やクレームが寄せられ、企業の商品やサービス開発のヒントとして大いに活用されていました。

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