「ハイサワーCM選手権」に見る“好循環”のビジネスモデルとは:ビジネス動画活用セミナー
zoomeは、製品やサービスをプロモーションしたいメーカーと共同でユーザー参加型の企画を立て、対象となる商材のブランディングを促進するというビジネスモデルを試している。
6月25日に東京・秋葉原で開催されたBiz.ID主催イベント「ビジネス動画活用セミナー」では、ニコニコ動画、YouTube、GyaOなど日本を代表する動画プラットフォーム各社が勢ぞろいし、これからの動画マーケティングを語った。イベントリポート第4弾は、「メーカーと協力して“お題”を出すことで、クリエイターのモチベーションを上げている」というzoomeの例を紹介しよう。
「勝手広告」をベースにした好循環のビジネスモデル
zoomeは、製品やサービスをプロモーションしたいメーカーと共同でユーザー参加型の企画を立て、対象となる商材のブランディングを促進するというビジネスモデルを試している。その成功例が、飲料メーカー・博水社と行った「ハイサワーおもしろCM投稿選手権!!」だ。
お酒を割って飲むときに使う炭酸飲料「ダイエットハイサワー レモン」(以下ハイサワー)のプロモーション目的で実施したもので、コンテスト形式でユーザーからハイサワーの「自主制作CM」を募集した。2カ月の募集期間中に、150本の投稿があったという。
「まずは入賞作品を見てください」――そう言ってzoomeの工藤純平社長が紹介したのが、以下の2本だ。
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上の動画は優秀賞、下の動画が最優秀賞の受賞作品で、最優秀賞の投稿者には30万円の賞金が贈られた。工藤社長は「(最優秀賞作品は)すごく学生っぽいノリだけれど、そこがむしろ良かった」とコメント。
博水社は企画の実施に当たり、会社ロゴや商品写真、サウンドロゴなどの素材を提供している。Web上では、ユーザーがお気に入りの製品の“CM風オリジナル作品”を(企業には無許可で)自発的に制作した「勝手広告」と呼ばれるジャンルの動画が人気を博しているが、「ハイサワーおもしろCM投稿選手権!!」の投稿作品は言わば“企業公認の勝手広告”だろう。
「企画段階からメーカーと打ち合わせを重ねて、クリエイターが燃えるようなお題を提供してあげる。気合の入った投稿作品は面白いから、視聴者が増える。すると製品の認知拡大につながる」(工藤社長)。
こうした「好循環のビジネスモデル」は、動画を投稿するクリエイター、それを視聴するユーザー、広告を出稿するメーカーのすべてにメリットがあり、かつそれを提供するzoomeのページビューやユニークユーザーの増加にもつながっている。
「単に動画を共有するというよりは、そこから一歩先に進んで、そこでどういうコミュニケーションをするのか。それが大事。素晴らしい作品を発表したらみんなに『ありがとう』『素晴らしい』ときちんと褒めてもらえるような、そんなコミュニケーションの場を目指している」(工藤社長)
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