「量」×「質」で差がつく――業界トップ企業の人材育成ポイント:研修に行ってこい!
業界トップの企業と、2位以下の企業の一番の違いを挙げるとすると、どのようなことだと思いますか? 人材育成の面から見ると、育成の機会と、その質の差に尽きます。そして、業界トップ企業の“当たり前”に着目することが、人材育成機会をとらえるヒントになるのです。
業界トップの企業と、2位以下の企業の一番の違いを挙げるとすると、どのようなことだと思いますか? 人材育成の面から見ると、育成の機会と、その質の差に尽きます。
特に育成機会は「毎日ある」「時々ある」「忘れたころにある」「まったくない(個人任せ)」というように大きな違いになります。
業界トップの企業の場合は、「毎日ある」です。しかし、外から観察するとそれが「育成である」ことに気づきますが、中にいる社員にとっては習慣化された“当たり前”のことなので、それが育成であることに気づかないものです。
この業界トップ企業の“当たり前”に着目し、だれでも取り組むことができ、成果につながる、人材育成機会のとらえ方についてのヒントを、2回に渡って紹介していきます。
今が現場の育成力を高めるチャンスの理由
業界トップ企業にとって日常的に行われている“当たり前”をひもといていくと、成果が最大化されるように意図的、計画的に設計していることが分かります。この設計力の巧緻(こうち)さが、その企業の業績に影響を与えていると言っても過言ではありません。
ただし、景気が良く経済が右肩上がりの時期には、この仕組みは非常に大きな効果を生みますが、景気が下降すると、仕組みを動かしている組織や制度全体を見直してしまって、混乱が起きる場合もあります。
そうなると本来最も大事である、今までは当り前であったこと、習慣化されていたことの価値が見えなくなり、育成機会の減少と質の低下がはじまります。残念ながら多くの組織がそのことに気づかないため、回復を遅らせる原因になっています。
そのような時期だからこそ、日々の当たり前、習慣化を意識し、育成機会の増加と質の向上に努めることができれば、今後成長する可能性が多いにあるでしょう。
育成機会の違いを知っておく
“人材育成”というと、経営企画、人事、人材育成・研修企画の担当者、といった特別な部門の人の仕事に感じられるかもしれません。しかし、そうした人たちができるのは、客観的立場に立った、情報収集、情報発信、仕組み作り、幅広い対象に向けた知識の獲得や技術向上、キャリアアップの支援といった、底上げ的な面が中心です。
日々の仕事の効果や効率を高める、あるいは業務課題を解決するといった、直接的な成果につながり、取り組みがいのある人材育成は、本来OJT(職場内教育)なのです。
下記に、育成機会を整理しておきましたので、ご確認ください。
育成機会 | 説明 |
---|---|
OJT | On the Job Trainingの略。職場での実務を通じて行う従業員の教育訓練 |
OffJT | Off the Job Trainingの略。職場とは別のところで行う従業員の教育訓練 |
自己啓発 | 本人の意思で、自分自身の能力向上や精神的向上を目指すこと |
成果につながる人材育成
ここで、業務目標と人材育成機会の関連を確認しておきましょう。
組織には、その会社ごとの経営理念・方針と、中長期で掲げた経営目標、その目標を達成するための、年度ごとの目標があります。その目標を達成する上で不足している知識や方法を補完する、あるいは定着させるために訓練を行うのが日々の育成です。
その時間の流れと、人材育成機会の関連を図にしましたので、ご確認ください。
図を見れば、OJTの重要性に気づいてもらえると思います。また、OJTがしっかりしていると、成果につながりやすくなるイメージもつかみやすいのではないでしょうか。次回は具体的な事例を元に、職場でのOJT機会について紹介します。
お知らせ
Six Stars Consultingでは、OJT力を高めたい企業の、人材育成のご担当者様および、職場内で教育を推進したい職場リーダー層を対象にセミナーを開催します。
今回のテーマは、新入社員および中途採用社員の育成力強化を「仕事の基本と専門知識の教え方」〜入社時教育で講師を任せる若手・中堅社員の育成をお考えの企業様へ〜(1月27日開催 参加費無料)
新入社員研修を企画・運営する実施責任者の方、ご担当者様の参加をお待ちしております。
著者紹介:原田由美子(はらだ・ゆみこ)
大手生命保険会社、人材育成コンサルティング会社の仕事を通じ、組織におけるリーダー育成力(中堅層 30代〜40代)が低下しているという問題意識から、2006年Six Stars Consultingを設立、代表取締役に就任。現在と将来のリーダーを育成するための、企業内研修の体系構築、プログラム開発から運営までを提供する。
社名であるSix Starsは、仕事をする上での信条として、サービスの最高品質5つ星を越える=お客様の期待を越える仕事をし続けようとの想いから名付けた。リーダーを育成することで、組織力が強化され、好循環が生まれるような仕組みを含めた提案が評価されている。
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