なんでもかんでもインボルブされない:アラフォー起業家の“継続拡大”人脈術
「○○の会を作りました。ぜひご一緒に」そんなお誘いを受けることもある。だが、気をつけなくてはいけない。いろいろなところに首を突っ込むと、人脈が増えそうな気もするが、そう単純ではない。突っ込んで違ったらすっと失礼にならないように首を抜くことも必要なのだ。
「○○の会を作りました。ぜひご一緒に」そんなお誘いを受けることも何度かある。だが、気をつけなくてはいけない。問題のある人の仲間にされてしまうことがあるのだ。
見ていて思うのだが、不思議なことに、問題の多い人は多い人同士でつるんでいるし、そういう人のコミュニティができあがっていく。そこに混ざってしまうと、自分がいわゆる「広告塔」にされてしまい、質の悪い集団が広まるお先棒を担ぐことになってしまう可能性もある。また、自分も「悪い集団」の仲間だと思われ、せっかくの継続人脈が途切れる可能性さえある。
主催者に大きな問題はなくても、考え方が自分とずれている人だった場合も距離をとるのが賢明だ。頻繁に接することでミスリードされる可能性も出てくるし、それこそ、自分もずれている人の仲間になって、自分の本来の主張とは違う主張の持ち主だと誤解を受ける危険性が出てしまう。「ずれている」ではなく「あ、この考え方、自分にはなかった。参考になるな」という内容ならありだが。
逆に自分の作った会に妙な人が紛れ込んでしまうこともある。たいていの場合は「居心地の悪さ」を感じて、その人は消えていく。だが、「ここにいることで利益が得られる」と思うと、その人が居座ってしまうこともある。それを防止するのが、事前に定めておくべき会のルールだ。コントリビューションの低い人は自動終了するような仕組みを先に作っておけばいい。
例えば、会合への参加の回数や、メーリングリストの最低発言回数の指定、懇親会の幹事は全員順番にすること、自社の利益のためだけに情報収集することの禁止(人に質問はするけど、人の質問には答えない人の退会)、などである。
いいとこ取りだけをする人は、幹事をしなかったり、情報交換用のメーリングリストで自社の宣伝をしてさらには、検索をせずとにかく質問ばかりを送るので、数カ月で退場となる仕組みだ。継続的な会にするときには、一緒に集まれそうな人だけに声をかければよさそうだ。
また、興味深い内容の会であっても、かなりの時間を使わないと活動が難しいものもある。時間が余っている場合や、その内容がメインの仕事に役立つのであれば、それもありかもしれないが、睡眠時間を削って宿題まで必要となると、社会人の参加は難しい。下手をすると本業を圧迫してしまう可能性も出てくるし、現在の人間関係のメンテナンスの時間も取れなくなってしまう。それでは本末転倒だ。
いろいろなところに首を突っ込むと、人脈が増えそうな気もするが、そう単純ではない。突っ込んで違ったらすっと失礼にならないように首を抜くことも必要だ。会の方向性が合わない場合、抜けるのは早いほうがいい。
役割にもよるが、引きずってしまうと相手にも迷惑がかかってしまう。断り方としては「仕事が忙しくなった」「時間が取れない」などの常とう句を用意しておく。正直に「方向性がずれている」「興味がない」「イマイチな会だ」などと言う人もいるかもしれないが、相手に「察して」もらう配慮も必要だろう。また、抜けた後にその会についてネガティブなことを言及しないのも暗黙の了解である。
著者紹介:加藤恭子(かとう・きょうこ)
IT誌の記者・編集者を経て、米国ナスダック上場IT企業の日本法人にてマーケティング・広報の責任者を歴任。外資系企業ならではの本社へのリポートの方法や、離れた地域にいる国籍の違う同僚とのコミュニケーションを通じて、効率よく実施する仕事のノウハウを高める。現在は、その経験を生かし、IT企業・組込み系システム企業のマーケティング・PR(広報)のコンサルティングを行うビーコミの代表取締役として活動。日本PR協会認定PRプランナー。
日経BP社、翔泳社、アイティメディア、ダイヤモンド社、アスキーなどで連載や記事も寄稿。インターネットを活用したコミュニケーションも研究しており、複数の学会などでブログコミュニケーションやネットPRに関する発表をしているほか、「CGMマーケティング」(伊地知晋一著、ソフトバンククリエイティブ刊)の編集協力も務めた。青山学院大学国際政治経済学研究科修士課程修了。現在は某大学院の博士課程に在籍し、引き続きコミュニケーションを勉強中。
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