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月額2280円/最大8MbpsのADSLサービス「Yahoo!BB」始動

【国内記事】 2001年6月19日更新

 ソフトバンクグループとヤフーは6月19日,下り最大8MbpsのADSL技術を使ったインターネット接続サービス「Yahoo!BB」(ヤフー・ビービー)を開始すると発表した。従来のADSLサービスにはない高速性に加え,ヤフーの用意する各種ブロードバンドコンテンツをそろえたポータルサイト,そしてISP料金込みで月額2280円という価格は衝撃的だ。発表会で挨拶に立ったソフトバンクの孫正義社長は,「値段は従来の3分の1,そしてスピードは50〜100倍。もはや,ナローバンドサービスに止まる理由は全くなくなった」と胸を張った。


都内のホテルで行われた会見では,まず3Mbpsのストリーミングビデオをデモンストレーションした。これは,実際にホテルの電話回線を使って接続したもので,約6Mbpsでリンクしているという

 Yahoo!BBのADSLサービスは,6月20日の午前0時より先行予約申込みを受け付ける。当初のサービスエリアは東京23区内(一部を除く)だが,その他の地域に住むユーザーにも予約整理番号が付与される予定だ。もっとも,当初1カ月間(7月末日まで)は試験サービスという位置付けで,この期間中に実用レベルでのサービス品質やマーケットの調査を行うという。試験サービス中は,接続料金も無料だ。

 商用サービスに移行するのは8月1日から。サービスエリアは,8月中に首都圏全域および大阪,名古屋に拡大し,年内には全国の主要都市にまで広げるという。「年内に人口の7割をカバーし,100万人の会員獲得を目指す」(孫氏)

 料金体系は以下の通り。基本的に,宅内工事はユーザーが行うDIY方式を採るが,先着100万人までの取り付けサービス(通常はオプション)を無料にする大規模なキャンペーンも実施する。ADSLモデムは買い取ることも可能で,その場合は2万4600円となる。ただし,NTTに支払う回線利用料(電話重畳の場合で187円,非重畳の場合で2062円)は別途必要だ。

種別 項目 価格
タイプ1(電話重畳) ADSL回線料金 990円
ISPサービス 1290円
ADSLモデムレンタル費用 500円
スプリッタレンタル費用 50円
タイプ2(非重畳) ADSL回線料金 990円
ISPサービス 1290円
ADSLモデムレンタル費用 500円

平均スピードは2〜4Mbps?

 Yahoo!BBにADSL回線を提供するのは,エックステージ(2000年5月の記事を参照)から社名を変更したビー・ビー・テクノロジー。Annex Aのフルレート規格(G.dmt)を使うことで,下り最大8Mbps,上り最大900Kbpsの回線速度を実現するという。Annex Aは,ISDNとの干渉を抑える仕様を盛り込んだAnnex Cと異なり,海外で広く採用されている,いわば世界標準仕様。そのため,対応設備が安価に導入できるというメリットがあるが,一方でISDNとの干渉による通信速度の低下が懸念される。実際,先行してAnnex Aを採用した東京めたりっく通信などは,ユーザー個々の条件によって,Annex CとAnnex Aを使い分けている。


会場に展示されていたフルレートAnnex Aのモデム。縦型のスリムサイズだ

 しかしながら,孫氏によると,実証実験の結果は良好だったという。既に,1000件弱のモニターを対象とした試験サービスを行っているが,「テストとチューニングによって,Annex Aでも90%は大丈夫だと分かった」と話している。「電話局からの距離により,500K〜1Mbps程度に落ちることはあるが,平均的な距離ならば2〜4Mbpsだった」(孫氏)。なお,ISDNとの干渉が多い場所や収容局からの距離が長いケースに対しては,別途,Annex Cよりも距離をかせげる技術を検討しているという。

 アグレッシブなサービスと価格を打ち出したYahoo!BBだが,その分,利益を上げるのも難しいようだ。質疑応答で損益分岐点を問われた孫氏は,「少なくとも,200〜300万ユーザーでビジネスとして成り立つ」と答えていた。これは,他社が目安としているユーザー数の数十〜百倍にあたる数字。逆に,それだけのユーザーを確保できれば,業界の勢力図を一気に塗り替え,付随するビジネスも優位に進めることができるだろう。ブロードバンドに賭けたソフトバンクが,大きな勝負に出たと考えていい。その意図は,孫氏の言葉に集約されている。

「ブロードバンドがもたらす革命は,人々のライフスタイルを一変させる。ブロードバンドの普及は,多くのビジネスチャンスを生むだろう」(孫氏)。

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[芹澤隆徳,ITmedia]

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