何もしない時間を作ることが、未来への「投資」世界トップリーダー1000人が実践する時間術(3/5 ページ)

» 2015年08月17日 08時00分 公開
[谷本有香ITmedia]

グーグルマップもポスト・イットもバッファの時間から生まれた

 このバッファの時間を全社的に奨励しているのが、グーグルです。米グーグルでは「20%ルール」として、「日常業務に支障が出ないかぎり、仕事時間の20%を本来の業務以外の取り組みに使ってよい」としています。しかも、いつ実行するかは完全に本人の自由。

 それではただの休憩時間になってしまうのではないかと心配になりますが、Gmailのもとになった「カリブー」も「グーグルマップ」も「グーグルサジェスト」も、この「20%ルール」から生まれたプロジェクトなのだと聞けば、そのすごさを認めずにはいられません。あらためてバッファの時間の必要性を感じていただけるのではないでしょうか。

 バッファの時間が生み出したアイデアは他にもたくさんあります。3Mの看板商品とも呼べる「ポスト・イット」もその1つ。あの便利な付せんは、みなさんの机の引き出しにも並んでいるのではないでしょうか。

 実は、3Mにも「執務時間の15%を自分の好きな研究に使ってもよい」とする「15%カルチャー」という不文律があります。研究員の1人は、その時間を使って、当時は失敗作だと思われた「しっかりくっつくけど、簡単にはがれてしまう接着剤」を有効活用するアイデアを同僚たちに聞いてまわっていました。

 すると、その接着剤の存在を記憶していた別の研究員が「しおりとしても、メモとしても使えて、はったりはがしたりできるもの=ポスト・イット」の開発を思い付いたのです。バッファの時間がなければ、その不思議な接着剤は失敗作のまま終わっていたことでしょう。

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