「自分の習慣」が非常識なことも……シーン別にマナーをチェック反面教師とならないための「上司」のマナー(5/5 ページ)

» 2015年08月28日 08時00分 公開
[佐藤靖子企業実務]
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5.慶弔事のマナー

弔事のとき

 冠婚葬祭の中で、最も配慮を必要とするのが「弔事」です。慶事であれば、あらかじめ心づもりができますし、少々の失敗も「お祝いの席だから」と笑って流してもらえますが、弔事ではそうはいきません。悲しみにくれるご親族を前に、組織を代表して参加するなら、態度や振る舞いに細心の注意が必要です。

  1. 逝去の日時・死因(経緯)
  2. 通夜、葬儀、告別式の日時・場所
  3. 葬儀の形式(宗教)、弔電や供花の可否
  4. 喪主の情報(氏名、住所、電話番号、故人との関係など)
  5. 弔事に関する社内規定や前例など

 訃報を受けた場合は、速やかに上記のような情報を収集します。情報収集の必要性を、日頃から部下にも指導しておきましょう。

代理で参列する場合

 組織人であれば、代表者の代理で取引先の弔事に参列することがあります。また、自分が参列すべき場合に、同僚や部下に代理を依頼することもあるでしょう。いずれにしろ、いざというときに慌てないためには、最低限の作法を身につけておく必要があります。

 宗派によって葬儀の形式はさまざまですが、弔問の基本マナーは次のとおりです。

  1. 弔事にふさわしい服装(黒やダークな色合いのスーツなど)で参列する。光るもの、目立つアクセサリーなどははずす
  2. 受付では「このたびはご愁傷様でございます」「お悔やみ申し上げます」など、相手が親族でなくともお悔やみを述べる
  3. 香典(香料)を手渡し、芳名帳に記帳する(代理の場合は、本来参列すべき者の名前の脇に小さく「代」を書き添える)
  4. 式典に参列
(写真と本文は関係ありません)

 通夜の場合、訃報からあまり時間を空けず行われるため、平服でもかまいませんが、ふだん抑えた色のスーツを着用している男性は、白いシャツと黒のネクタイを会社に常備しておくと、いざというときにも対処できるので、慌てずに済みます。

 香典は袱紗(ふくさ)に包んで持参するのが常識ですが、袱紗がない場合は、小さめの風呂敷やハンカチの代用でもかまいません。時々、香典袋を購入したときのビニール袋に入れたまま持ってくる人を見かけますが、とても失礼な行為です。必ず包んでいきましょう。

 式典は、故人を見送る厳粛な場であることを心掛けた振る舞いが必要です。たとえ、知人や顧客を見つけても、軽く会釈する程度にとどめ、「お世話になっております」などのビジネス上の会話は控えましょう。

 また、やむを得ない事情で途中で帰る場合、できるだけ末席に座るようにし、焼香などを終えたら静かに退席します。翌日は、会社への報告も忘れずに行いましょう。

慶事のマナー

  1. 招待状には、出欠・欠席にかかわらず、早く返事を出す。お祝いの一言も忘れずに
  2. 式典の内容にふさわしい服装で出席する

 役職者になると外部とのつきあいも多く、取引先の周年行事や祝賀会、関係者の結婚式などの招待を受けることも増えてきます。

 出席するかどうかは、社内規定などによっても異なってきますが、招待状を受け取ったら、できるだけ早く返事をすることがマナーです。返信はがきが同封されている場合は、そのはがきを使用します。

 出欠どちらの場合でも、お祝いの言葉を書き添えることをお忘れなく。欠席の場合は「どうしても外せない先約があり……」など、やわらかい表現で理由を伝えましょう。

 式典当日は、組織を代表する者としてふさわしい服装で参加します。「平服」と指定がある場合は略式礼装を意味します。うっかり普段着で出席すると、先方に恥をかかせてしまいますので注意が必要です。分からない場合は主催者に確認するとよいでしょう。

 受付では「本日はおめでとうございます」など、お祝いの言葉を述べながら祝儀袋を手渡して記帳します。コートや傘などはクロークに預け、会場に持ち込むのは小さなバッグ程度にします。

 やむを得ず、式典の開始時刻に遅れた場合、会場内で来賓のあいさつなどが行われていれば、終わるまで入室を待ちます。会場係の人がいれば、その指示に従ってください。

 お祝いの席では、主役を引き立てるような明るい話題を取り上げましょう。自社の売り込みや人の悪口などは雰囲気を壊してしまうだけでなく、会社の品格を疑われることにつながりますので控えます。ふだん以上の気配りを働かせ、周囲の人が気持ちよく過ごせるよう配慮することが大切です。(佐藤靖子)

著者プロフィール・佐藤靖子

オフィス・サトウ代表 佐藤靖子

経営コンサルティング会社勤務を経て独立。企業・病院・団体向けの各種研修(リーダー育成、コミュニケーション、接遇・マナーなど)を手掛けるとともに個人に対しては目標達成コーチとして活動中。


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