3つのシステムが出そろったところで、どれが一番良いのだろうか。日本の道路環境かつ一般道中心ということになれば、恐らくハイブリッドが有利である。加減速が多いという状況ではこれに勝るシステムはなかなか難しいだろう。ただし、プリウスに代表されるような、電気だけでも走れる、いわゆる「ストロング型ハイブリッド」からエンジンのトルクを補完する「マイルド型ハイブリッド」へと徐々に主流が移っていくはずだ。
適正な排気量の直噴ガソリンエンジンに、アシスト用としてこのマイルドハイブリッドを採用する。現在最も期待されているマイルドハイブリッドシステムは、極めて追加部品が少ないため、安価に製造できる上に、重量増加も少ない。実利を取るために非常に優れたシステムになっている。クランク軸からVベルトで駆動する発電機を、アシストが必要なときには作動を逆転させてモーターとして使う。
高価で重い走行用のバッテリーを廃止して、キャパシターを採用するとさらに理想的だ。バッテリーとは電気で起こした化学反応で、化学エネルギーとしてエネルギーを蓄えるのだが、電気と化学のエネルギー変換時にどうしてもロスが出る。
一方、キャパシターは要するにコンデンサーのことで、電気を電気のまま貯める仕組みだ。当然変換ロスが少ないし、変換がいらない分、貯めるのも使うのもバッテリーの10倍も急速な単位時間あたり蓄放電が可能だ。バッテリーに劣るのはエネルギーの長期保存性だが、走行中はどのみち頻繁に電気を出し入れするので、デメリットは極めて限定的だと言える。もう一点の問題はキャパシターの物理的な大きさだ。重量もバッテリーよりマシだとはいえ、軽いとは言いがたい。体積あたり、重量あたりの蓄電量の向上が望まれる。
以上の点から、筆者が2016年に最も期待している省燃費技術は、キャパシターを使ったマイルドハイブリッドシステムである。
1965年神奈川県生まれ。1988年企画室ネコ(現ネコ・パブリッシング)入社。取次営業、自動車雑誌(カー・マガジン、オートメンテナンス、オートカー・ジャパン)の編集、イベント事業などを担当。2006年に退社後スパイス コミニケーションズでビジネスニュースサイト「PRONWEB Watch」編集長に就任。2008年に退社。
現在は編集プロダクション、グラニテを設立し、自動車評論家沢村慎太朗と森慶太による自動車メールマガジン「モータージャーナル」を運営中。
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