続けて、A社長は仕事の美学についてこうおっしゃいました。
「どんなに仕事が欲しいと思っても、物乞いのように貧相な姿をさらしたら、その時点で相手と互角じゃなくなる。それで仕事をまわしてもらったとしても、思っていたより報酬が低かったり、仕事内容が当初より何十倍も労力がいる可能性が出てくる。要は相手に『仕事を分けてやっただろ』という考えを持たせてしまってはならないということ。
とはいえ、余裕があるように見栄を張れというわけではなくて、大事なことは1回だけ言えばいい。仕事の話をして、最後に『よろしくお願いします』と言ってスッと引く。人間というのは不思議なもので、何度も同じことを繰り返し言う人よりも、一度しかワードを言わなかった人のほうが比重が大きくなる。だから、どうしても取りたい仕事のときほど、ワードを1つに絞ることが大事なんだよ。
失敗した部下を叱るときも同様、人前で怒鳴るのはただの自己満足。傷を余計にえぐることになるから、そういうときは1回だけ叱る。ふた言目は『次はどうする?』って話す。人前で怒らずにいられない人というのは、もうその時点で仕事の美学が成立していないよね」と。
とはいえ、A社長も人の子ですから“沸点”ももちろんあります。そんなときは、第三者の目線になって「今の感情の行く末に見える美学があるか」を考えるのだとか。すると、「怒っていても好転的なものは何も見えないから、怒っている時間がもったいない」と思うそうです。
このように、常に自分の言動や行いが己の美学に反していないかどうかを第三者目線で見ることで、周りの人たちから嫌われたり妬まれたりするというレベルではなくなるようです。
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