土肥: よく「AIが発達すれば、自分の仕事がなくなるかもしれない」「ロボットに自分の仕事が奪われるかもしれない」という人がいますが。
尹: 人って単純作業が嫌いですよね。同じことを繰り返す作業って、できればやりたくない。人間は目もあるし、鼻もあるし、口もあるし、手もあるし、腕もある。ロボットに比べてものすごく器用なので、人間は付加価値の高い仕事に就いたほうがいいのではないでしょうか。繰り返しになりますが、日本の将来は人口減少によって人手不足は避けられません。貴重な人材は難しい仕事に就いたほうがいい、と僕は思っているんですよね。ロボットはあくまで道具なので、みんながそれを使いこなせばいいんですよ。
土肥: なるほど。開発している中で、一番つらかったことは何でしょうか?
尹: 誰も実現したことがない技術なので、ほとんどの人が理解してくれませんでした。「その技術って、世の中に必要なの?」「お前のやっていることって、正しいことなの?」「従来のロボットでいいじゃないか」といった感じのことを何度も言われました。
土肥: 私もそのころに、尹さんとお会いしていたらこのようなことを言っていたかもしれません。「日本って『ロボット大国』ですよね。そんな国で、誰でもつくれそうなモノをつくってどうするんですか! 手足を自由に動かせて、ペラペラしゃべることができるモノを開発してくださいよ」と。
尹: ははは。
土肥: コロを設計する際って、何か動物を参考にされたのでしょうか? 例えば、新幹線500系の先頭形状は、「カワセミのクチバシを参考にした」といった話を聞いたことがあります。
尹: 手足が伸びて縮む動物って、この世にはいません。というわけで、参考にした動物や昆虫はないですね。
土肥: では、どういったときに「肘はないほうがいいなあ」「手先は伸び縮んだほうがいいなあ」と思われたのでしょうか?
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