“手先が伸びて縮むだけ”のロボットが、「在庫ゼロ」になるほど売れている理由水曜インタビュー劇場(ロボット公演)(6/7 ページ)

» 2016年08月24日 06時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

「人手不足」という言葉をなくしたい

尹: これまで20年ほど、肘のあるロボットを研究してきました。人工衛星に装着しているロボットでモノを組み立てたり、原発をメンテナンスしたりしてきましたが、肘には本当に苦労させられたんですよね。

 また工場の現場で働いている人からも「ロボットの肘がなければ……」という声をたくさん聞いていたので、なんとか肘をなくすことはできないかとずっと考えてきました。

土肥: 人工衛星って宇宙で作業をするんですよね。広いスペースでの作業になるので、肘があっても問題にならないのでは?

尹: いえ、狭いんですよ。人工衛星にはさまざまなモノが搭載されているので、できるだけ狭いスペースで作業をしなければいけません。例えば、アンテナが付いている。ロボットを動かして作業をしたいのですが、肘がアンテナに当たってうまく作業ができない……というケースが多々あるんですよね。

土肥: 将来的に、どこかの企業と一緒にやっていく考えはありますか?

尹: あります。繰り返しになりますが、コロを開発したきっかけは、人口減少していく中で人手不足をなんとかしたいと思ったから。よく「そんなの無理でしょ」と指摘されますが、僕は「日本から『人手不足』という言葉をなくしたい」と真剣に思っているんですよね。

 人手不足という大きな問題を解決するためには、どうすればいいのか。私たちのような小さな会社だけで解決できる問題ではありません。今後は、大企業と組んでいきたいですし、ベンチャー企業とも組んでいきたい。人口減少はどんどん加速しているので、残された時間は少ない。だから、できるだけ早くどこかの企業と一緒に、この問題に取り組んでいきたいですね。

 もちろん「人手不足」という言葉がなくなるのは、難しいでしょう。ただ、10年後に一定の成果がでたら、20年後に中国で、30年後にインドでも人手不足の問題が起きるはず。そうすると、日本での成功事例を海外でも生かせるのではないでしょうか。

肘のないロボットは人手不足の切り札になるのか(写真はイメージです)

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