これはあくまでも筆者の臆測だが、鳥貴族のケースも、当初のマニュアルでは焼酎やアルコールの段ボールは取らないと決められていたのではないか。しかし、段ボールを外すほうが別の作業をするのに好都合で、マニュアルを変えてしまった。その結果、消毒用アルコールを酒と間違ってお客さんに提供してしまい……大きなミスを生んでしまったのではないかと。
もちろん、こんな事態を防ぐためにマニュアルは存在しているが、現場の作業はケース・バイ・ケースで対応することが多いため、すべてをマニュアル化することは到底不可能なのだ。それなのに、チェーン展開している業界では、あたかもマニュアルですべてを解決できるという風潮が多く見られる。
「マニュアル通りにやれば、簡単なお仕事です」――どこかで聞いたフレーズだ。しかし、現場はそんなにやさしくない。新たなトラブルが生じるたびに作業マニュアルはどんどん書き換えられていく。それは膨大な量になって、多くのバイトがすべての内容を把握できないでいる。そして、忘れたころに大きなミスが生じてしまう。その繰り返しである。
元コンビニ本部社員、元コンビニオーナーという異色の経歴を持つ。「タフじゃなければコンビニ経営はできない。優しくなければコンビニを経営する資格がない」を目の当たりにしてきた筆者が次に選んだ道は、他では見られないコンビニの表裏を書くこと。記事を書きながら、コンビニに関するコンサルティングをやっています。「コンビニ手稿」
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