昨季は嫌われていたのに、いかにして「名将」になったのか 広島カープの緒方監督赤坂8丁目発 スポーツ246(3/4 ページ)

» 2016年09月08日 07時11分 公開
[臼北信行ITmedia]

“発信力”がアップした理由

 ところが、そんな評判最悪だった緒方監督が今季からガラリと変わった。負の流れは実を言うと「強権発動」によってピタリと止まったのである。昨オフ、広島・松田元オーナーが2016年も緒方体制を引き続き全面バックアップすると強い姿勢で打ち出したからだ。

 カープのドンから「何があってもオマエとは一蓮托生だ。次のシーズンはオレに恥をかかせるな。オマエも少し心を入れ替えなきゃイカンぞ」と直接ゲキを飛ばされたこともあって緒方監督は、自らのやや内向的な性格を思い切って改善しようと決意。試合後のコメントによる“発信力”が今季から急に高まったのは、そのためである。

 「今季の緒方監督は試合で活躍したヒーローを『○○が本当によくがんばってくれた』と当たり前のように激賞し、さらに陰のがんばりを見せた選手についても誉めることを忘れずに自ら触れてしっかりとスポットを当てている。そして負けても『選手は悪くない。オレの責任』と潔い。

 そういう監督のコメントはスマホでチェックできるので、選手たちはいつも食い入るように見ていますよ。誉められれば、誰だって悪い気はしないですからね。『あ、今日はオレのこと言ってくれている』『監督もなかなか、いいこと言ってくれるなあ』などと主力たちもささやき合っていますね。

 今季は鈴木誠也(外野手)のことを『神ってる』と評し、大きな話題を呼んだ。この『神ってる』に関しても選手たちの間で、すっかりブームになっているくらい。監督の試合後の言葉が明らかにチームのムードをよくし、選手たちを乗せている。昨季あれだけ批判されていたのが、ウソのようです」(チーム関係者)

 ちなみに鯉党の間でも、緒方監督のコメントは好評のようだ。ネット上を見てみると「昨季とは明らかに言葉の重みが違う」「まるで名将のようなコメントだ」などと、おおむね絶賛されている。

25年ぶりの優勝を楽しみにしているカープファン(写真はマツダスタジアム)

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