鉄道車両を使わない「レールバイク」や「トロッコ」は、鉄道趣味とは言えない。しかし、鉄道ファンの私が神岡のガッタンゴーに乗ってみたら、とてもおもしろかった。線路に近い目線で、自力で走る経験は気分を高揚させる。分岐器を通過すると、自分が鉄道車両になったような感覚。鉄橋もトンネルもそうだ。本物の線路を使った「でんしゃごっこ」の楽しさだった。
廃止された鉄道線路が、観光資源として生き返ったように思えて感動する。そして汗をかいた。これはスポーツだ。心地良い汗をかいて、風呂に入りたくなった。ここは奥飛騨温泉だ。そうか、ガッタンゴーは、自身のレジャー施設としての収益のほかに、温泉町の付加価値でもあるわけだ。温泉に行きたい、どこに行こう。何かほかにおもしろい施設があるところが良いな、となる。地域に貢献するレジャー施設へ。新たな使命を受けて愛される鉄道がある。それがロストライン・ツーリズムだ。
レールマウンテンバイク「ガッタンゴー」に乗ってみた。レールに乗っているから手放し運転でも大丈夫。左右の景色を楽しめるし、両手でカメラを構えて写真を撮れる。もちろんスマホで自撮りもオッケーだ
- 国鉄を知らない人へ贈る「分割民営化」の話
4月1日にJRグループは発足して30周年を迎えた。すなわち、国鉄分割民営化から30年だ。この節目に分割民営化の功罪を問う論調も多い。しかし、どの議論も国鉄の存在を承前として始まっている。今回はあえて若い人向けに国鉄と分割民営化をまとめてみた。
- 事実上の廃線復活 可部線延伸から学ぶこと
新幹線開業などの大きな目玉がないせいか、今週末のJRグループダイヤ改正は大きく報じられない。しかし、鉄道ファンや交通問題に関心のある人には注目の案件がある。広島県の可部線が延伸する。たった1.6キロメートルとはいえ、事実上の廃線復活だ。JR発足30周年の年に、JRとしては初の事例ができた。
- 観光列車の次のブームは廃線かもしれない
岐阜県飛騨市、秋田県大館市、宮崎県高千穂町で廃止された鉄道路線を観光に生かす人々が集まり「日本ロストライン協議会」を設立する。鉄道趣味の1分野だった「廃線」が、城巡りに通じる新たな観光資源として注目されている。
- 鉄道と生まれ変わった宮城県女川町を旅した
東日本大震災で市街の大半が消失し、復興の過程にある宮城県女川町。石巻線の全線復旧から1年10カ月、駅前商業施設「シーパルピア女川」のオープンから1年が過ぎた。新しい町に人々が列車で訪れる様子を見て、鉄道がある町の活気を感じた。
- 夕張市がJR北海道に「鉄道廃止」を提案した理由
JR北海道が今秋に向けて「鉄道維持困難路線」を選定する中、夕張市が先手を打った。市内唯一の鉄道路線「石勝線夕張支線」の廃止提案だ。鉄道維持を唱える人々は「鉄道がない地域は衰退する」「バス転換しても容易に廃止される」という。夕張市の選択はその「常識」を疑うきっかけになる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.