土肥: バンダイは1977年……いまから40年前にカプセルトイ市場に参入したそうですね。当時20円の機械が主流だったのにもかかわらず、100円機で参入したとか。当時、子どものお小遣いを考えると、ちょっと高く感じた人が多かったと思うのですが、その後、次々にヒット商品が生まれているんですよね。
漫画『キン肉マン』に登場する超人の形を模したモノ……いわゆる“キン消し”を1983年に発売したところ、子どもたちの間で大ヒット。これまで418種類を発売していて、1億8000万個も売れているとか。このほかにも、ガンダム、アンパンマン、セーラームーンなどのシリーズが大ヒットしました。40年間の販売数をみると、34億590万個(2017年3月)。市場の約7割のシェアを獲得しているわけですが、今年の注目はなんといっても「ザク」ですよね。
機動戦士ガンダムシリーズに登場する「ザク」の頭部を再現したモノになりますが、最大の特徴はカプセルを排除して、球状のまま出てくること。シェルを外すと、中にパーツが入っていて、それを組み替えるとザクの頭部ができあがる。500円という高価格にもかかわらず、用意していた4万個はすぐに完売。その後、再生産して約20万個を出荷したわけですが、消費者になにがウケたかというと、ザクという強烈なキャラのほかに、サイズの大きさ、驚きの仕掛けだと思うんですよね。このような商品をどのようにして企画したのでしょうか?
松原: これまでにはない新しいモノを企画するとき、何を考えるか。まず「どうすれば消費者を驚かせることができるのか」といったことを考えます。なぜ驚かせようと考えるのか。ガシャポンの場合、驚かせることができないと、「買ってみよう」「レバーを回してみよう」と思っていただけないんですよね。
ザクの場合、何を考えたのか。「大きなサイズのモノを出せば、消費者は驚いてくれるのではないか」と考えました。でも、ガシャポンなのでサイズには限界があります。通常はカプセルの中に入れなければいけないのですが、カプセルよりも大きなモノをどのようにすれば出すことができるのか、といったところからスタートしました。
土肥: カプセルよりも大きなモノをつくるって、足し算・引き算の発想で考えると、実現不可能ですよね。その不可能をどのようにして可能にしたのでしょうか?
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