ボコボコに打たれても、斎藤佑樹の不思議なポジティブ思考赤坂8丁目発 スポーツ246(2/4 ページ)

» 2018年06月14日 12時10分 公開
[臼北信行ITmedia]

無神経というか、KYというか

 散々な状況となっている当の斎藤本人は本当に危機感を覚えているのだろうか。おそらく、そこまで窮地に立たされているとは思っていないだろう。仮にそう自覚しているのであれば、もう彼はとっくに自分から身を引いている。

 悪く言えば「厚顔無恥」。逆にいい意味で表現するとしたら、斎藤は自分を着飾るだけの「プロデュース力」がズバ抜けている。そして世間からの猛バッシングをモノともしないタフな精神力、いわば「鈍感力」も彼の持ち味と言えるかもしれない。斎藤に近い日本ハムの関係者は次のように打ち明ける。

 「一軍で投げては打たれるたびに多くの有識者から『引退するべきだ』などと酷評され続け、ネットユーザーからはもっと辛らつなトーンの批判が毎度のごとく書き込まれている。にもかかわらず、斎藤は『これは僕に対する叱咤激励です』とポジティブにとらえている。時に笑い飛ばすこともあるほどだ。

 高校球児のときに『ハンカチ王子』として注目され、どうしても気になる存在だからこそ批判される。もし批判もされなくなれば、もう自分に関心がなくなるわけだから、そのタイミングこそ終わりのときなのだ。つまり批判されているうちが華なのである。斎藤は、そうやってポジティブに考えている。だから、いくらブッ叩かれてもまったく気にならない。無神経というか、KYというか……」 

 マウンドでいくら滅多打ちを食らって大炎上しても、試合後の斎藤は「能力がない」「自分が情けない」といった類の言葉はほとんど発したことがない。自暴自棄になったり、自分を責めたりすることはせず基本的には“逃げ道”や“言い訳”を用意して再起しやすいシチュエーションをつくっておくことが彼の常套手段だ。

 KOされれば当然のように試合後の取材でメディアから詰問を受けることになり、精神的にも追い込まれているから、とても受け答えの仕方を考える余裕などないはずだが、それを斎藤は普通にこなせてしまうのである。そういう意味でもやはり図太い神経の持ち主と言えるのかもしれない。

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