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» 2018年07月09日 09時00分 公開

「主婦獲得の成否」が立地選択の決め手に:郊外で激化する「ママ人材」獲得競争 人手不足対策に大和ハウスが“次の一手” (3/4)

[今野大一,ITmedia]

進まない保育士の働き方改革

 この保育施設は、内閣府による企業主導型保育事業にのっとった運営をしており、認可外保育所ではあるものの、認可保育所並みの基準を満たしている。

 ママスクエアの藤代聡社長は、リクルート出身だ。物流施設に進出した狙いを語る。

 「ママたちが選ぶ仕事は、主に3つの職種に分かれます。1つ目はリクルートでいえば『とらばーゆ』に当たりますが、ホワイトカラーの事務職として働くモデルです。2つ目が『フロムA』で、販売、サービス、フードなどのサービス業ですね。3つ目が、ガソリンスタンドや流通、物流現場など体を動かして働くモデル。ママスクエアの事業モデルとして今までになかったのはこの3つ目で、そのロールモデルを作りたいと思っていました」

phot ママスクエアの藤代聡社長

 現状、子どもが複数いた場合、兄弟を別の保育施設に預けて2〜3カ所を移動するのも良く耳にする話だ。仕事場に着くまでに2〜3時間はかかってしまう。藤代社長は「保育サービスを提供しているのにそんな状況に陥るなんて、おかしいですよね」と語る。

 ある保育施設では、親が子どもを迎えに行く際、門の前に従業員が立っていて、少しでも時間が過ぎると「遅刻しないでくださいね」と注意されることもあるという。「働き方改革」が叫ばれる時代、子どもの預かり方自体も変化していかなければならない。

 また、保育士不足が問題になっている一方で、資格を持っていても保育士として働いていない「休眠保育士」も多い。藤代社長は「休眠保育士を私は『潜在保育士』と呼んでいますが、多くの保育士が結婚後に仕事を辞めてしまい、『休眠』してしまいます。仕事と家庭の両立を助け、働きやすい環境を整えることで、保育士が能力を発揮できる『受け皿』に当社をしていきたいのです」

 藤代社長は、保育士たちが実際に仕事を断念する例を数多く見てきた。「平日は午後7時ころまで会議や連絡帳の記入と、とにかく報告業務が多い。土日も遠足の下見があったりして、24時間365日業務に忙殺される。もし子どもが生まれると、あまりの忙しさに自分の家庭がおろそかになってしまうのです」(藤代社長)。

「子連れ出勤」可能に 「保育士不足」もどこ吹く風

 このような事情があるため、藤代社長は同社で働く保育士が「子連れ出勤」をできるようにした。自分の子どもも職場のキッズスペースに連れてくることができるので、子育てとの両立が難しいと言われる保育士も、ワークライフバランスを整えやすい。

phot 広大な土地を生かし、約100平方メートルの「園庭」も完備する

 「保育士も自分の子どもといられる時間を多くとることができるので、『休眠』しなくて済む。育児ブランクが女性活躍を阻害するといわれる中で、キャリアにブランクを作らなくて済むのは就業継続の面で大きいと考えています。こうした取り組みが功を奏してか、保育士不足の中でも当社は採用の差別化を図ることができています」

 保育士は業務に忙殺される割に、子どもと接する時間が少ないという声も良く聞かれる。同社では、事務作業の負担を軽減するために手書きの連絡帳をPCでの連絡帳に切り替えるなど、「ベビーテック」と呼ばれる、ITによる業務改善も実施する予定だ。

phot 業務効率化や安全確保のためにカメラを導入するなどIT化を進めている

 「子連れ出勤」や「IT化」によって、保育士のワークライフバランスに配慮し、かつ子どもと接する時間に集中できる環境を整えている。

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