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「キラキラ広報」に未来はあるのか 仕事と外見の問題を考える常見陽平のサラリーマン研究所(4/4 ページ)

» 2018年08月03日 07時44分 公開
[常見陽平ITmedia]
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世の中は甘くない

 実は、このキラキラ問題は根が深い。どういうことかというと、見た目も武器のひとつという残酷な事実があるからだ。コンプライアンスに反しない範囲でいかなる手段を使っても、成果を出すことがビジネスの現場である。もちろん、いわゆる色仕掛け的なことを上司や取引先などから強要された場合は問題になる。しかし、ルックスやキャラを武器にできる人がその強みを生かして、結果を出すことは何の問題もないし、誰も傷ついていないのである。

 「いやいや、そんなことはないよ。確かに傷ついてはいないかもしれないけれど、なんか嫌」という人は、少し真面目なのかもしれない。じゃあ、どうすればいいのか。性格を変えればいいのか。違う。活用できるものは活用すればいいだけのことである。キラキラを生かして売り上げを伸ばす人がいれば、その人たちをうまく使えばいいだけのことである。

 「あの人はキラキラしていていいなあ。ワタシもかわいかったらなあ」と思ったことがあるかもしれないが、外見だけで生きていけるほど世の中は甘くない。例えば、女子アナの世界を見ていただきたい。20代で活躍している人は多いが、40代はどうだろうか。数えるほどしか浮かんでこない。これが現実なのである。

 誤解されないように言っておくが、筆者はルックスをウリにしている人をバカにしているわけではない。モテるために結成されたロックバンドがのちに世界平和を歌うかもしれないのと同様、人生は長いので化ける可能性もあるのだ。そもそも、「あいつのウリはルックスだけ」と決めつけるのは早計である。これらが目立ってしまうと、本当の実力に光が当たらないかもしれないからだ。

 というわけで、「IQよりも愛嬌」は意外に深い。ルックスをバカにしてはいけないのだ。筆者のこともバカにしてはいけないのだ。

筆者のこともバカにしないで

常見陽平のプロフィール:

 1974年生まれ。身長175センチ、体重85キロ。札幌市出身。一橋大学商学部卒。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。

リクルート、玩具メーカー、コンサルティング会社、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。長時間の残業、休日出勤、接待、宴会芸、異動、出向、転勤、過労・メンヘルなど真性「社畜」経験の持ち主。「働き方」をテーマに執筆、研究に没頭中。著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』『エヴァンゲリオン化する社会』(ともに日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)『普通に働け』(イースト・プレス)など。


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