過熱する「加熱式たばこ」競争が、“個人情報争奪戦”になってしまう理由スピン経済の歩き方(1/5 ページ)

» 2018年09月18日 08時07分 公開
[窪田順生ITmedia]

 最近、何やらモヤモヤするテレビCMがオンエアされているのをご存じだろうか。

 まずは、爽やかに微笑む老若男女らの映像とともに、どこか聞いたような、こんなナレーションが流れる。

 「吸う人と吸わない人が一緒に楽しめる、ブリティッシュ・アメリカン・タバコはそんなたばこの未来をつくりたい」

 そして最後に「秘密はenjoy together.jpまで」というメッセージが告知されるのだ。これはナレーションにあったように、「ラッキーストライク(Lucky Strike)」や「ケント(KENT)」などで知られる世界的たばこ会社、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(以下、BAT)のCMなのだが、画面には喫煙者はおろか、たばこは1本足りとも登場しない。

 といっても、それがモヤモヤの理由ではない。ご存じの方も多いと思うが、たばこは、パチンコや消費者金融などと同じく広告活動が規制されており、企業イメージ広告やマナー啓発広告しかできない。つまり、このようなフワっとしたCMになるのは当たり前なのだ。

たばこの広告活動は規制されているので、どうしてもイメージ広告などになる

 では、いったい何がモヤモヤするのかというと、喫煙者の方がこのCMをあまり深く考えず見ていると、あれよあれよというままに、「加熱式たばこのユーザー登録」をしている、というあまりの「手際の良さ」である。

 実際にCMのメッセージにしたがって、「enjoy together.jp」にアクセスした方は分かると思うが、アクセス先には「私たちの考える未来はこちら」「コーポレートサイトはこちら」という2つのボタンがしか出てこない。後者はBATの公式Webサイトなので、ほとんど人は前者をポチっとやる。

 すると登場するのは、加熱式たばこ「glo」(グロー)のブランドサイトだ。

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