火のないところに煙は立たぬではないが、こういうモヤモヤが生まれるには原因がある。実は日本のマスコミはほとんど取り上げなかったが、今年5月にロイターが非常に興味深い疑惑を報じている。
「特別リポート:加熱式たばこIQOSに喫煙データ収集機能」(2018年5月16日)だ。
2012年から4年間、フィリップモリスジャパンに勤務した正岡資郎氏によると、フィリップモリスインターナショナル(以下、PMI)は、IQOSユーザーの情報をデータベース化しており、それをさらに活用できるよう、IQOSの1日の喫煙回数などの喫煙習慣を収集するアプリソフトのテストを進めているという。
また、IQOSの技術と特許について研究している、米・ノースイースタン大学のグレゴリー・コノリー教授はこの「喫煙者データ」の収集によって、「喫煙習慣に関するメガデータ」が獲得でき、「IQOSの現行の喫煙(吸い込み)パターンをプログラムし直して、強化し、中毒性を高めることだ」と警鐘を鳴らしているのだ。
もちろん、PMIはこのような狙いは全否定している。確かに、IQOSは「販売されている何カ国かでは、Bluetoothのワイヤレス通信につなげることができる」のだが、これはあくまでデバイスの不具合を修正するためであって、マーケティング目的ではないというのだ。
この記事を、「世界的大企業によるニコチン依存症の囲い込み戦略」ととるか、「嫌煙家の陰謀論」ととるかは、「たばこ」に対するスタンスで大きく変わってくるだろうが、そのようなイデオロギーを抜きにして注目すべきは、以下の点ではないだろうか。
「世界の中でも、たばこのマーケティングに関する規制が緩い日本では、フィリップモリスはデバイス購入時に登録するユーザーの情報を集めている。東京のファッションの中心地・原宿に、iQOSの文字が際立つガラス張りの建物、iQOSブティックがある。来店客はiQOSのWebサイトに登録すれば、割引でデバイスを買うことができる」
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