――賞与に上乗せ支給した際の社員の反応と、今後の課題は。
17年下期は売り上げが増えて残業が減ったので、今年の夏に初めて賞与に上積みという形で還元できた。ほとんどの社員は入社以来最高のボーナスを手にすることができたので評判は良かった。これがインセンティブとなってさらに生産性が上がれば、この還元は会社にとっても良い結果につながる。
課題の1つが、個人、職場、会社全体のどの単位で生産性向上を評価するのかが難しいことだ。個人単位で評価するとなると、仕事上ギスギスするなど弊害が出てしまう恐れがある。職場単位にすると、2つの職場にまたがるような仕事の場合には、お互いに積極的には関与したがらなくなる。成績の良くない事業所に転勤するのはイヤだ、ということにもなってしまうだろう。
こういうカルチャーを作るのは好ましくないので、いまは会社としての一体感を保つ目的から会社全体で生産性向上を評価しているのだ。これまでの3年間を振り返りながら、来年以降どうするかを考え、この制度を進化させていきたい。いまは前年度を基準に残業時間の多寡をみているが、いずれは残業が減らなくなる状態も想定されるので、その時に何を基準にするのかも検討していきたい。
――社員にとって生産性を上げる一番のメリットは何だと考えているか。
長期的な視点が重要だと思っている。残業により社員個人の収入を短期的に増やすことができたとしても、肝心の生産性を上げなくては会社の国際競争力が削がれる。ひいては会社がもうからなくなることにもつながり、そうなれば当然、社員個人の給与も増えなくなるのだ。
一方で生産性を上げることができれば会社の業績は良くなり、個人の能力も上がり賞与も増える。長期的に考えるならば、残業手当をもらうより、生産性が上がって給与が増えることの方が社員にとってもハッピーだろうと、いろいろな場で言っている。
――「個人と企業の成長のための新たな働き方」の1つとして定められた高収入の一部専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)についての印象は。
わが社では一部の専門職以外にはほとんど適用していない。一般的に年収1000万円以上の人は、残業代という概念とは関係ない人だと思う。やや形式的な制度とも感じられる。
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