日本経済団体連合会(経団連)の中西宏明会長が会員企業向けに会社説明会や面接の解禁時期などを定めた「新卒採用活動の指針」を、廃止する意向を表明したことが波紋を広げている。
このことについては新聞やテレビなどの大手メディアでも多く報じられたが、あるオンラインメディアに、人事系のコンサルティング会社であるベクトルの秋山輝之氏が書いた「経団連『東京五輪のための採用前倒し計画』が、就活ルール廃止にすり替わった本当の理由」という寄稿を、取り分け興味深く読んだ。秋山氏の寄稿内容はおおよそ以下の通りだ。
(1)2020年は東京五輪開催のため、夏季の採用活動が難しい。そのため、「前倒し採用」をする必要があり、産業界代表として経団連がそれを言い出すことを期待された。だが、経団連の会長からは前倒しではなく、ルール廃止、自由化、日本型雇用からの脱却という想定外の話しか出なかった。
(2)その理由は、「採用はすでに通年化している」からだ。大手就職ナビサイトは3年次の6月1日から大学生の登録を可能としている。確かに新卒採用広報には掲載時期に制限がある一方、インターンシップの募集には何の規制もない。そのため、3年次6月1日以降、企業は採用し放題だ。だからルールは形骸化する。
(3)こんな状態ではルールがあったとしても実効性を伴っていない。だから経団連会長は「自由化」を口にした。今後は新卒採用習慣も一変するだろう。
(4)経団連傘下にはないIT系企業などでは、早期に採用をし、在学中に社内育成などもしている。
(5)従って新卒採用にこだわらず、第二新卒採用も含めて若年が獲得できるようにすべきだ。
秋山氏の寄稿は興味深いのだが、現行の採用ルールができた経緯については筆者にも思うところがある。今回は新卒の採用指針が廃止され、仮に採用時期が自由化された場合、何が起こるのかについて検討してみたい。
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