――スポーツ団体には組織としての問題点もあるのでしょうか。
多くの団体が公益社団法人という形をとっていますが、この法人の在り方にも、抜本的な見直しが必要だと思っています。スポーツ庁など国も含めて健全化を進めるべきポイントではないでしょうか。
公益社団法人は会社法をベースにしています。通常の企業、つまり「株式会社」であれば、株主と会社の経営陣の目的は、「利益を出し、株主に対して配当すること」で一致しています。だから経営者が暴走するなどの例外を除けば、大きな問題は起きにくくなっているのです。
一方、公益社団法人の場合、株式会社と同様に法人として位置付けられてはいますが、株主に当たるのは「社員」と呼ばれる人たちです。株主総会と同じように総会で予算案などを承認しますが、利益を生み出すことが目標になっている訳ではないので、方向性がなかなか一致しません。
そうなると、例えば今までと違う方針を提案すると反対されたり、人間関係が問題になったりして、総会がもめることが多くなります。もしこれが普通の企業なら、株価の動向や株主の意見など、外部の視点を考慮せざるを得ないはずです。また、利益が出ない事業の見直しなども当然必要になってくるでしょう。しかし、現在の公益社団法人の枠組みはなかなか機能しづらく、運営面での改善策を考える必要があると感じています。
ただ、組織のために何が必要なのかを関係者全員が理解し、同じ方向を向けば、問題は起きません。「会社なら当たり前」といわれることをしていれば、ほとんどの問題は起きないのではないでしょうか。
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