以上が太田会長へのインタビュー内容だ。積極的に改革を進めている太田氏は、「業務執行のトップは長く続けない方がいい」と言い切る。改革を通して、収益の確保と会員増強のためのノウハウを協会に蓄積し、次の世代に引き継ぎたいという考えからだ。
ただ、改革に当たってスタッフの人数を大幅に増やせるわけではない。フェンシング協会を初め多くの競技団体は、少人数の正職員によって運営されている。笹川スポーツ財団などが実施した「中央競技団体現況調査 2016年度」によると、62団体のうち22団体が、正規雇用者数を1〜4人と回答しており、最も割合が多かった。11団体については、正規雇用者を「0人」と回答している。
限られたスタッフによって、大会などの事業収入や会員を増やすためには、太田氏が語ったように、従来の運営方法にとらわれない新たな発想が必要になるのだ。
競技団体の中では比較的規模の小さいフェンシング協会が、補助金に頼らない運営を実現できれば、多くの競技団体にとってもモデルになる可能性がある。太田氏の視線は、スポーツ界全体の未来を見据えている。
田中圭太郎(たなか けいたろう)
1973年生まれ。早稲田大学第一文学部東洋哲学専修卒。大分放送を経て2016年4月からフリーランス。雑誌・webで警察不祥事、労働問題、教育、政治、経済、パラリンピックなど幅広いテーマで執筆。「スポーツ報知大相撲ジャーナル」で相撲記事も担当。HPはhttp://tanakakeitaro.link/
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