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会社をつぶし、手掛けた2つのサービスが終了 それでもチャンスをもらえる「許され力」の正体とは?失敗からの再起(6/6 ページ)

» 2018年10月09日 06時45分 公開
[鈴木陸夫ITmedia]
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目的さえ握れていれば「勝手にやる」で構わない

――改めて振り返ってみて、失敗しても許され、次のチャンスをモノにできた理由はどこにあったと思いますか?

 最初に言ったように、僕は元々ビッグマウスで、その謙虚さが足りないところが失敗につながったわけです。でも一方で、次のチャンスをもらえたのも、大きなゴールを目指すことから逃げなかったからではないかなと思うのです。なおかつ、言うだけではなくて、コンテストに出るなど、自ら行動もしていました。「許された」のかは分からないですけど、「もう1回やってみないか?」と言ってもらえたのは、そこが評価されたのだと思います。

――とはいえ、勝手に会社を創ってしまうのはかなり大胆な行動だと思います。合田さんの行動力の源泉はどこにあるのでしょう?

 うーん、どうですかね。そこはあまり深掘りしたことがなかったな。ただ、言われてみれば僕は昔から行動するタイプではありましたね。高校時代にアメフト部、大学では社交ダンス部に入ったのも、他の人がやっていないからという理由でしたし。アルバイトも、マジックバーをやったり、芸能人やモデルのスカウトをやったり。好奇心がすごく強いというのと、人と同じことをやるのが嫌というのがあるかもしれません。

――なるほど。そういう行動力が、失敗しても信頼を失わない要因になっていた、と。

 後はその行動が目的にきちんと即していること、なおかつその目的を間違っていないことだと思っています。結局、一番上流にある目的さえブレていなかったら、勝手に行動しても怒られることはないと思うのです。僕の話で言えば、「IT、スマホのアプリでてっぺんを獲る」。そこに本気で向かっている限りは何をやっても怒られないはずですよ。

 でも、その目的がそもそも間違っていたら、最悪なことが起こるでしょうね。もちろんそんなことはしませんけど、例えばインターネットに関わらないサービスだったら……とか。だから、そこさえブレずにきちんと上司と目的が握れていたら、後はもう勝手にやってもいいと思います。そこで失敗して、怒られるかもしれないけど、きっと許してくれるのではないかな。

――指示を待つのではなく、むしろ「勝手にやっちゃう」ことが今すごく必要になっている?

 もちろん、いつも上司の言うことを無視していいわけではないでしょうし、一概には言えません。サイバーエージェントが特殊な会社だというのもあるかもしれない。僕だってこうは言っていても、やりたいことをやらせてもらうために必死に上を説得することもありますよ。

 でも、正解がない状況に限って言えば、それくらいの行動力が必要ではないでしょうか。僕が会社を立ち上げた2012年ごろは、スマホアプリに関して、サイバーエージェントの中にも、世の中にもまだ正解がなかったんですよね。「海外ではInstagramやFoursquareというのが流行っていて、どうやら5、6人のチームでやっているらしいぞ」といったことを断片的に聞くような状況でしたから。

 そういう意味だと、あのころの僕がいろいろ許してもらえたのは、正解なんて上司だって分からないんだから、「失敗してもいいからチャレンジしてみなよ」という、会社からのメッセージだったのではと今は思います。

(取材・文:鈴木陸夫、撮影:浅田よわ美、企画・編集:岡徳之<Livit>)

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