数年ごとに、新しい外国人労働者を受け入れてOJTで育成するより、日本語や日本企業のカルチャーをしっかりと理解して、なおかつ高い技能を有する「ベテラン外国人労働者」を長く雇い、彼らに後進の育成にあたらせたほうが会社としては遥かにありがたいからだ。もちろん、外国人側にしても数年でポイっと使い捨てにされるより、せっかく慣れてきた環境なのだから、長く雇われたいのは言うまでもない。
つまり、「移民じゃなくて外国人労働者だからセーフ」というのは極めて建前的な言葉遊びに過ぎず、将棋で「歩」が「と」に成るように、一度大量に受け入れてしまえば、ごく普通に「移民」へと変わっていくのだ。
このシビアな現実を理解した上で、「移民」を受け入れようという人たちも増えている。読売新聞社が10月26〜28日に実施した全国世論調査では、『外国人が定住を前提に日本に移り住む「移民」の受け入れについては、全体で「賛成」43%と「反対」44%が拮抗した』(読売新聞 10月29日)という。2〜3年前まで同じ質問をすると「反対」は7割程度だったことを踏まえると、明らかに社会ムードが変わってきているのだ。
農業分野も賃金が下がる!?
気の早い人たちの間では、「高齢化した外国人の介護とか社会保障はどうするんだ」「受け入れとともにモスクなどの宗教施設も必要だぞ」なんて議論も交わされている。
ただ、個人的には「外国人労働者の拡大ありき」で進んでいることには危機感しかない。というよりも、人手不足に関してもまだまだやれることが十分あるので、安易に移民政策へ突き進むべきではないと考えているからだ。
なんてことを口走ってしまうと、「サヨクじゃなくて、外国人ヘイトを撒き散らすネトウヨだったぞ!」と先ほどとはまったく逆の方向から、憎悪の矢がビュンビュン飛んで来てしまうだろうが、筆者が安倍政権の「移民政策」に反対しているのは、外国人が増えると治安うんぬんや、「世界一美しい国ニッポンは大和民族だけが住めばいい」的な愛国イデオロギーからでははない。
外国人労働者を受け入れてしまうと、日本人労働者の「賃金アップ」のチャンスはなくなる。おまけに、ようやく兆しが見えてきた日本社会の生産性向上も足を引っ張られる。要は、日本にとって「得」がまったくないからだ。
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