「全国のホステルに泊まり放題」が広がれば、どんな人が増えるのか水曜インタビュー劇場(お帰り〜公演)(3/7 ページ)

» 2018年10月31日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

残念ながら、誰からも聞かれなかった

土肥: 霞が関を去るにあたって、どのような声がありましたか? 「安定を捨てるなんて、もったいない」といった意見が多かったのでは?

柚木: たくさんの人からこのように聞かれました。「安定した公務員を辞めて、なぜ宿屋さんをやるの?」と。ホステルを運営するにあたって資金を借りていたので、確かに不安定になる。ただ、残念なことがひとつ。誰からも「やりがいのある仕事をなぜ辞めるのですか?」と聞かれなかったんですよ(苦笑)。

土肥: や、ワタシも「安定」「安定」と言っていました(失礼)。日本人の心の中に、キャリア官僚の仕事は「やりがい<安定」といった考え方が強いのかもしれません。いや、根強い。農水省を退職して、4カ月後にホステルをオープンしたわけですが、稼働状況はどうだったのでしょうか?

木で作った手作りの二段ベッド。各ベットには、貴重品ボックス、小さな机、読書灯が付いている

柚木: 当初は予約が入ったら、「あ、本当に来るんだ」といった感じでした。実際に来られてもオペレーションが整っていなかったので、基盤づくりにチカラを入れていました。

土肥: やっぱり、不安定(笑)。

柚木: ただ、7月に初めて満室に。8月は繁忙期なので、ほぼ満室でして、バタバタとした日々を送っていました。

土肥: ホステルというと海外からのバックパッカーが利用しているといったイメージがありますが、どんな人が泊まっているのですか?

柚木: 東京のホステルの場合、9割が外国人、1割が日本人といった感じ。一方、Little Japanは6割が外国人、4割が日本人。なぜ日本人が多いのかというと、ホステルでさまざまなイベントを実施しているから。例えば、地元で獲れた魚介類をみんなで食べたり、地域の課題を共有したり、ワークショップを開いたり、トークイベントを行ったり。週2回ペースで開催しているので、日本人の宿泊客が多いのかなあと。

ドミトリーにも小さな机や椅子などが設置されている

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