元本保証で利息3% 世界一安全な米国債を買ってみた為替リスクには注意だが(5/5 ページ)

» 2018年11月08日 07時00分 公開
[トレイシーITmedia]
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現役世代ならストリップス債

 税金については、債券の利子、譲渡損益、償還差損益に対し、20.315%が徴収されます。利付債の場合は利子と償還差損に対し、ストリップス債の場合は償還差益に対してそれぞれ税金がかかります。特定口座の源泉徴収ありにしているので、利付債の場合は利子が振り込まれるごとに2.67ドル(償還日は償還差損が発生しているので調整が入る)、ストリップス債の場合は51.19ドルが償還時に自動的に徴収されます。さっきの式を応用して米ドル建ての税引後の最終利回りを計算してみると、利付債が1.887%、ストリップス債が2.395%。受取金額に換算するとそれぞれ1037.81ドルと948.81ドル、税引き後の最終利益はそれぞれ37.81ドル、200.81ドルとなります。

 外貨預金でも株式でも税率は同じです。参考までに先ほど紹介した金利2.5%の米ドル定期預金に2年預けたと仮定すると、税引後の最終利回りは1.992%、受取金額は1039.84ドル、最終利益は39.84ドルとなります。

 今回購入して分かったことは、定期的にキャッシュが得られる利付債はリタイア世代向け、複利効果が得られるストリップス債は現役世代向けであることです。私自身は現役世代ですが、思い切って30年ものに10万ドル(1ドル=112.02円として1120万円相当)を投資すれば、表面利率が3%として、元本の損失なく毎年2回1500ドル(1ドル=112.02円として税引前16万8030円)ずつ確実に受け取れることが分かります。

 現役世代の場合は定期的にまとまった金額を用意して、毎年少しずつ積み立てていくことを検討してもいいかもしれません。現在35歳だとすると、30年後に65歳になるわけなので、30年もののストリップス債を毎年1万ドル分ずつ購入すれば、年金を補うことが理論上可能になります。年金というとリスクの小さい運用が理想ですが、日本の財政事情を考えると、為替リスクがあっても通貨分散したほうが安全だとも考えられます。

 1万ドルと言っても100万円以上を用意する必要はありません。経験上言えるのですが、毎年100万円以上を継続して貯めることはとても大変なことです。ストリップス債であれば割引価格で買えるわけですから、30年ものの債券時価が4120ドルだと仮定すると、1ドル=112.02円換算で46万1522円。年1回のリレー購入で、30年後に毎年1万ドルを受け取れるわけです。しかもざっくり毎月4万円を貯蓄に回す資金力があれば達成可能です。

 毎月4万円は難しくても、2年か3年に一度、1万ドル相当の購入を積み立てていくことは十分可能ではないでしょうか(下図)。そもそも毎月4万円を貯蓄できるなら、現役世代はNISAで株式を購入するなど、他に優先するべき対象への投資もあると思います。通常、債券よりは株式の方がリスクは大きい分、リターンは債券金利を上回ります。NISAの口座内では売却時の税金もかかりません。

 今回は勉強目的でしたが、国際分散投資のバランスを最適化させるために、ディフェンシブになりすぎないよう、うまく米国債をポートフォリオに組み込むことを検討してもいいかもしれません。

ストリップス債キャッシュフロー 図2:35歳から2年に一度ストリップス債をリレー購入した場合のキャッシュフローのイメージ
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