コラム
» 2018年11月13日 06時30分 公開

何が必要か?:女性の昇進意欲を左右する基幹的職務経験 (2/6)

[菅原佑香,大和総研]
株式会社大和総研

昇進意欲における男女差の現状

 労働政策研究・研修機構が2016年に実施した「企業の人材活用と男女正社員の働き方に関する調査」によると、総合職正社員の男性の56%は課長相当職以上への昇進を希望しているが、女性は28%にとどまる(図表1左図)(※3)。

 今よりも高い地位や役職に就くことを希望するかという問いに対しても同様の傾向が見られ、そうした女性の意欲は男性よりも低い(図表1右図)

 つまり、課長以上の管理職の候補となる人材プールである係長級の役職への昇進でさえ、女性は男性よりも意欲が低い可能性がある。

図表1 左図:管理職に就いていない総合職正社員の管理職への昇進希望。右図:管理職に就いていない総合職正社員の今より高い地位・役職へ就く希望の有無 図表1 左図:管理職に就いていない総合職正社員の管理職への昇進希望。右図:管理職に就いていない総合職正社員の今より高い地位・役職へ就く希望の有無

 なぜ昇進意欲に男女差が生じているのであろうか。同調査で30歳代大卒正社員の就業態度について企業の認識を尋ねた結果を見ると、「昇進意欲高い」という項目は男性が女性のそれを明確に上回るものの、「挑戦回避」「指示待ち」「私生活重視」といった項目では男女差が見られない。つまり、企業は昇進に対する意欲以外に大きな男女差があるとは認識していない。入社してからさまざまな業務を女性が経験していく過程のどこかに、男性に比べて管理職への昇進を前向きに考えにくくする要因があると考えられる。

 一般正社員は管理職に対して、「仕事のストレス大きい」「労働時間長い」「休暇とりにくい」といったイメージが強い(※4)。特に女性は男性に比べて仕事と家庭との間で葛藤を抱えやすい現実があることから、管理職を敬遠している可能性がある。一方、管理職は仕事の裁量度が非管理職よりも高く、やりがいがあるといったプラスのイメージも少なくない。そのため、管理職でも家庭と両立できるように就業環境を整備することは、女性の昇進意欲を高めるかもしれない。

 しかしながら、女性の昇進意欲に関するこれまでの先行研究を整理すると、家庭との両立支援策は重要であるが、それだけでは女性の昇進意欲が高まるとは限らないと結論付けられたものが多い。

※3 分析の対象には、勤務地限定の正社員、職種限定の正社員は含まれていない。現在の仕事内容(職種)において「管理職」以外であり、かつ役職について「部長相当職以上」「課長相当職(次長を含む)」に当たらない者(「係長相当職」「役職についていない」者)とされている。自身の雇用管理区分における昇進の上限に関する設問で、課長相当職以上へ昇進可能でないとした者も分析対象から除外されている。

※4 労働政策研究・研修機構(2017)「育児・介護と職業キャリア−女性活躍と男性の家庭生活−」労働政策研究報告書 No.192

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