5年間ヒトヤスミしていたのに、なぜ「一休」は再成長したのか水曜インタビュー劇場(45%増公演)(4/6 ページ)

» 2018年11月21日 06時50分 公開
[土肥義則ITmedia]

「戦わないで、戦う」作戦

土肥: 以前は宿泊施設のほうを見ていたけれども、お客さんのほうを見るようにした。会社で例えると、楽天型だったのをアマゾン型に転換したわけですね。楽天の主な収入源は出店企業からの手数料なので、お客さんは「企業」。一方、アマゾンの主な収入源は、自社で仕入れた商品を販売することなので、お客さんは「消費者」。このように考えると、会社を創業するほどの大変さが伴ったかと思うのですが、ここで疑問がひとつ。

 高級ホテルを紹介していて売り上げが伸び悩んでいるのであれば、普通のところを紹介すればよかったのではないでしょうか。ホテルのプールで泳ぐことができて1泊3万円、東京の夜景を見ることができて1泊5万円、部屋の露天風呂に入ることができて1泊10万円といったところではなくて、サラリーマンが出張で利用できそうなビジネスホテルを紹介すれば売り上げは伸びるのでは? (素人コンサルの意見、その1)

榊: やれば、売り上げは伸びるでしょう。ただ、ブランドのイメージは変わってしまいますし、コストも増えることになる。もし参入すれば、大きな会社と戦わなければいけません。資金力もあるし、人もたくさんいる。そのような相手と、なぜ戦わなければいけないのか。

 先方からすれば、こちらがとがればとがるほど戦いにくくなると思うんですよね。低価格から高価格までたくさんの宿泊施設を扱っているなかで、富裕層だけをターゲットにしている一休を相手にするのは難しいのではないかと。

土肥: 土俵には上がらないと?

榊: 「戦わないで、戦う」といった感じですね。

土肥: では、違うブランドで運営するのはどうでしょうか? 「三休で、サラリーマンの出張先を探せます」といった具合に。(素人コンサルの意見、その2)

榊: 理論上はアリです。ただ、当社が手掛けている富裕層の市場はまだまだ成長余地があると思っているんです。

土肥: 利用者の数や単価が伸びていると?

榊: はい。お客さんの利用金額が大きく伸びているんですよね。10年と17年の数字を比較すると、年間40〜79万円使う人は3.7倍も伸びている。80〜199万円使う人も5.3倍、200万以上は10.0倍、それぞれ増えているんですよね。

顧客1人当たりの利用金額が伸びている

土肥: (資料を見て)30万円以下でも、2倍ほど伸びている。

榊: 過去のデータを見ると、利用者数も増えているし、単価も伸びている。そうした状況のなかで、来年は利用者が急減するといったことは考えにくいんですよね。

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