ついに「高温」投入 “3本の矢”手にしたプルーム・テックはアイコスに勝てるか“吸ってる感のなさ”克服(2/3 ページ)

» 2019年01月18日 05時00分 公開
[濱口翔太郎ITmedia]

吸い応えを改善し、3機種展開

 「Ploom TECH +」はにおいの少なさはそのままに、加熱温度を約10度高めたほか、専用リフィルのタバコ葉を増量し、吸い応えをタール5〜6ミリの紙巻きたばこ相当に強めた。マイクロUSBケーブルでの充電に対応したほか、充電残量に応じてLEDライトが青・紫・赤の3段階に変化する仕様も取り入れ、使い勝手も改善した。

photo 「Ploom TECH +」

 高温加熱式の「Ploom S」は、においを紙巻きたばこの5%未満に抑えつつ、吸い応えをより強めた点が特徴。競合の「アイコス3マルチ」と同様、専用たばこスティックの“10本連続吸い”にも対応した。高温加熱式にカテゴライズされるものの、競合製品よりやや低い200度という加熱温度は、においの少なさと吸い応えを両立させるための“ベストな温度”だという。

photo 「Ploom S」

 岩井副社長は「『Ploom S』は(ロングセラーの紙巻きたばこ)『メビウス』らしい味わいが楽しめる。加熱式たばこの味に違和感を持っていた人向けに、たばこ葉のうま味を実現した」と強調。JTのマーケティング担当者も「味で競合製品との差別化を図っていく。クセがなく、飽きがこない味に仕上げた」と自信を見せる。

 今後は従来モデルも含む3機種を展開していく方針で、(1)気軽に加熱式たばこを楽しみたい人は「Ploom TECH」、(2)程よい吸い応えを求める人には「Ploom TECH +」、(3)他の2機種よりもにおいは生じるが、紙巻きたばこに近い味わいを楽しみたい人は「Ploom S」――といったように、加熱温度に応じて、異なるニーズを持つユーザーに訴求していく。

photo 異なるニーズに訴求していく

“3機種展開”の強みを広めてナンバーワンに

 ただ、その先進的なデザイン、においの少なさ、独特の風味などが支持され、「アイコス」を中心に急速に普及してきた加熱式たばこだが、需要が一巡したため、市場規模の拡大ペースは以前から鈍化している。

 こうした状況下で市場を活性化させ、ニーズを喚起するべく、JTは今後「低温加熱式・高温加熱式の違いを適切にガイドし、明確なカテゴリー認知を図っていく」(岩井副社長)方針。現在は「加熱式たばこ」とひとくくりに捉え、加熱温度の差による特徴の違いを知らないユーザーも多いが、マーケティングに注力して“3機種展開”の強みを打ち出していく考えだ。

 岩井副社長は「販売店の棚に置いてもらうのではなく、顧客に直接(加熱式たばこの)説明をするような営業体制にシフトする」計画も明らかにした。こうした戦略により、ゆくゆくはアイコスやグローからシェアを奪い、「リスク低減製品(RRP)のジャンルで中期的にナンバーワンを目指す」(岩井副社長)としている。

photo 今後のラインアップ。3機種展開で競合のシェアを奪えるか

 紙巻きたばこでは国内トップシェアを誇るものの、加熱式たばこでは競合の後塵(こうじん)を拝しているJT。“加熱温度”にこだわった商品展開とマーケティング戦略で競合を超えられるのか、今後の動向に注目したい。

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