土肥: 電子辞書の国内市場を見ると、右肩下がりが続いているわけですが、そんな中でもカシオは奮闘していると言ってもいいかもしれません。国内外で年間100万台ほど売れていて、累計で3000万台以上も出荷しているそうで。96年に1号機を発売しましたが、その売れ行きはいかがでしたか?
上田: タッチパネルを採用した「XD-500」(3万円、税別)という商品を発売しました。薄くて軽くて大画面(5インチ)だったこともあって、社内からも「これは売れる」といった声があって、盛り上がっていました。ただ、残念ながら、想定と違って売れなかったんです(涙)。
いまの製品と違って、当時の商品は動きが“もっさり”していたんですよね。タッチパネルに打ち込んでも、もっさりもっさり動くといった感じ。「この言葉の意味を調べたいなあ」と思っても、もっさり動くので、なかなか意味までたどりつくことができない。そんな感じだったので、お客さんにとっては使い勝手が悪かったのかもしれません。
社内から「これではいかん」という声が出てきて、構造を見直すことに。当時、PCが普及してきたこともあって、99年にキーボードを搭載した「XD-1500」(3万6000円)という商品を発売しました。
このほかに、辞書コンテンツを見直したり、見やすいレイアウトにしたり。その中でも、最大の特徴は「ネイティブ音声」を収録したこと。1号機を出して、お客さんから「英単語の意味だけでなく、発音も聞きたい」という声があったので、2号機で搭載することに。合成音声ではなく、ネイティブ音声を聞けることがウケて、販売台数は目標の1.5倍ほどに達しました。
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